季節の音や手遊びをプラスして
親子で一緒に楽しいわらべうたの時間
坂野知恵さんとわらべうたの出会いは、一番上のお子さんが3歳、二人目のお子さんが1歳だった1989年、近所の人に教えてもらって親子でわらべうたの会『たんぽぽ』(国分寺在住の柚山明子さん主宰)に参加したことがきっかけでした。「子どもに良いのではと思って通い始めたものの、次第に自分自身が楽しんでいることに気がつきました。そして歌いつづけているうちに、わらべうたの会をやりませんか?という声がかかるようになり活動を始めました。」と知恵さん。また
わらべうたをより楽しくさせる楽器いろいろ
「子育てにわらべうたを取り入れると、子どもだけでなく親も気持ちが開放されてお互いにとても良い影響があると思います。数十年前までは、赤ちゃんに子守歌を歌ったり、遊びの中でも歌ったり、生活の中にいつも声がありました。子どもたちもわらべうたをあたりまえに歌ったり、聞いたりしていたと思います。最近はスーパーやコンビニでは言葉を交わさなくても買い物ができるし、核家族化などで暮らし方も変化して、日常からもわらべうたは消えつつあります。そんな時代だからこそ、意識して生活の中に声を取り戻したいと思います。わらべうたは手遊びも多く、自然にスキンシップやコミュニケーションヘとつながります。歌いながらだと、手を繋いで遊ぶのも恥ずかしくありません。人と人との関わり方もわらべうたを通して知らず知らず育まれるように思います。実は私も人見知りでしたので、わらべうたにはとても助けられてきました」と生活の中でわらべうたを歌うことの大切さを語ってくれました。
知恵さんはわらべうたを一回歌ったあと、歌詞の意味を解説してくれます。初めて聞いた歌でも短いものなら2回、3回と繰り返すうちに一緒に歌えるようになります。子どもと一緒に大人もつられて歌ってしまいます。「日本語に無理なく添うメロディで、シンプルな中にも懐かしさを感じるからでしょう。誰でも歌えます。」と知恵さん。
現在、知恵さんのわらべうたの会は、国分寺では「まめカフェ」で定期的に開催しています。国分寺市以外にも、国立市や小平市など近隣と長野や鳥取などでも活動されています。「まめカフェでは0~3歳のお子さんとお母さんの参加が多いですが、年齢制限はありません。世代を問わず、参加したみんなで楽しみたいですね。ご縁があるところには、わらべうたをお届けに行きますよ。」と知恵さんは話してくれました。
いぶき君のギター伴奏で歌う坂野さん
2010年頃からは末っ子のいぶき君と一緒にわらべうたライブも行っています。(いぶき君は知恵さんのお腹の中にいる時からわらべうたを聞いて育ち、現在はギタリストとして活動しています。)わらべうただけで構成するライブは、0歳〜100歳までが共に楽しむというコンセプト。わらべうたの楽しさをみんなで共有したいそうです。
2012年と2013年には、鳥取県のアートスタート事業に呼ばれて境港市に滞在しながら0~3歳児向けのわらべうたの舞台作品を制作。「0歳児でも30分集中して観てくれます。今までは鳥取県内のみの上演でしたが、今後は全国に展開していけたらと思っています。」さらに「妊婦さん対象の会や大人だけ会を開いたり、長野のわらべうたを集めたCDも作りたいです。」と今後の活動が楽しみです。
※「アートスタート」とは、0歳から就学前の子どもたちが大好きな人とともにプロの舞台を楽しむ“アートとの出会いの場”を作る活動。鳥取県ではアートスタート公演が県内各地で取り組まれています。
みんなで手をつないでわらべうたのはじまり
「子育ては大変だが、それ以上に得るものがたくさんある」という言葉を胸に3人の子育てをしたという知恵さん。「子どもがおひざの上にいる時期は、案外早く過ぎてしまうものです。毎日いろんなことがあって大変ですが、上手に気持ちを切り替えたり、子どもと一緒にわらべうたを歌ったりしながらその時間を大切に味わってほしいです。」と現在子育て中の方々にメッセージをいただきました。
取材のため、わらべうたライブと、まめカフェわらべうたに参加して、わらべうたの心地よさを思い出しました。我が子が1歳くらいの時、私が家事をしているとぐずって泣き出すことがよくありました。そんな時、子どもをおんぶしてわらべうたをひたすら歌い続けると、いつの間にか子どもはおとなしくなるし、私はイライラしていた気持ちがどこかへ行って、優しい気持ちになった経験があります。私自身も子育て中にわらべうたにとても助けられました。今回は子連れではなかったので最初から童心にかえり、夢中でわらべうたを歌ってしまいました。声を出し、手や体を動かしたせいか、体の中に溜まっていたものを発散できたような、さっぱりした気持ちになりました。また、参加した皆さんとの一体感もありました。終わったあとの皆さんの笑顔も清々しくとても良い時間を過ごしました。
知恵さんのぶんハピ 国分寺歴 30年
坂野知恵さん
自宅の隣の保育園の子どもたちの声
一日に2回、保育園で子どもたちが外遊びする様子がとても可愛いらしく、遊ぶ声が聞こえてくると癒されます。わらべうたに出会い、多くの子ども達と関わるようになって、子どもたちは一人一人すばらしい存在だとあらためて思うようになりました。
取材場所協力:
わらべうたライブ会場 造形教室アトリエ木のね(鷹の台) 09044340706
まめカフェわらべうた まめカフェ
わらべうたLIVE&顔写真 背景作品:吉田玲子 (アトリエ主宰&絵画療法士)
取材:ぶんハピリポーター