ぶんじ寮 その2

〜地域の活動について〜

ぶんじ寮は住むための場所であると同時に、地域に開かれた場所でもあります。
実際にどのような活動を行っているのかお聞きしました。

ぶんじ寮の門にある掲示板には、寮の庭で育てている野菜の販売のお知らせ、寮の自治会新聞などが貼られています。新聞にはぶんじ寮の近日のイベント告知などとあわせてまちの人からの声も書かれており、近隣にお住まいの方とぶんじ寮のみなさんとの往復書簡のようです。

玄関の門に貼られた自治会新聞や野菜販売のお知らせ

ぶんじ寮の庭の畑、季節ごとに数種類の野菜を栽培して販売

玄関口にあるまちのシェア傘

そして、玄関先には『まちのシェア傘』と書かれたバケツにたくさんのビニール傘が置かれていました。地域の人が誰でも必要なときに使ってもらえるようにと設置されたもの。これも寮の住人のアイディアの一つ。

イベントは寮の住人たちが自発的に企画して行っていて、参加者が0名というイベントもあるとか。コクフェス、ぶんぶんウォークなど国分寺市内で行われているイベントにも積極的に参加し、2023年には、年間で60〜70回ほどイベントを開催したそうです。

ぶんじ食堂のメニュー看板

その一つに、一人ひとりができることを持ち寄り、みんなで育てる食堂『ぶんじ食堂』があります。ぶんじ寮の発起人でもある永井千春さんを中心に2018年から、国分寺市内のいろいろな場所を借りて行われていた取り組みです。

現在はここ、ぶんじ寮を拠点に毎月、定期開催されています。(詳しくは、ぶんじ食堂ホームページ:https://bunji-shokudo.org)ぶんじ食堂でひとつの食卓を囲むのは、未就学児から人性の諸先輩方まで。

ボリュームたっぷりのメニュー

食を介したイベントは地域を繋げる良いイベントですね。食のイベントでは、クルミドコーヒーオーナーの影山さんとぶんじ寮の住人が1つのテーマ(今までに開催したテーマ:「暮らしとケンカ」、「親はこどもにどこまで愛情を注がないといけないんだろう?」など)について対談し、その後一緒にランチを食べるという‘サンデーブランチ’ や、お酒片手にその日のテーマについてゆったり語らう‘イエノミ’ (今までに開催したテーマ:「おもいで」「トキメキ」など)があります。

その他にも、映画上映会(今までに上映した映画:東ティモールの闘いをとりあげた「カンタ!ティモール」、能登の塩作りに焦点をあてたドキュメンタリー映画「ひとにぎりの塩」)などを開催しています。バーベキューや、中庭を利用した焚き火、お花見や、ぶんじ寮の屋上での花火観覧が人気のイベントだそうです。

ぶんじ寮近くの公園で地域のひとも一緒にお花見

かつて幡野さんが主催したイベントで、“ぶんじ寮の屋上黙考“というイベントがありました。ぶんじ寮の屋上でただただボーっと考えましょうというイベントで、おしゃべり禁止!というもの。こちらは参加者1名で、主催の幡野さんとお2人で行われたということもあったそうです。

7月、東京競馬場の花火をぶんじ寮の屋上からみようというイベントに、6歳になる娘と参加しました。花火の開始とほぼ同じタイミングで寮に着き、慌てて屋上へ上がるとすでに屋上はたくさんの人でにぎわっていました。

ぶんじ寮屋上からの見た府中の花火

近所の小学生がコーヒー屋さん・ジュース屋さんを開いていたり、どこからか食べ物を焼くいい匂いがしていたり、D Jがいたり、そこは小さなお祭り会場のようでした。屋上中央あたりにはシートを敷いた家族連れが何組かいらっしゃり、それぞれにくつろいで楽しんでいる様子でした。その1組に声をかけると、幡野さんのお子さん、青音ちゃんと同じ保育園に通うお子さんがいらっしゃるというご家族で、悠さんに誘われて参加しましたとのこと。普段でもぶんじ寮にふらっと立ち寄って遊ぶことがあります、とのお話でした。そのお隣には、屋上での花火観覧は何回目かという幡野さんの同級生のみなさん、最初は数人だったのに今年はこんなにたくさんの方が集まっていて嬉しいとおっしゃっていました。

また、ぶんじ寮の目の前にお住まいだというおじいさまもいらっしゃり、家からだと全く見えないがここの屋上からだと花火がよく見えてうれしいと笑顔でお話ししてくださいました。仕事や所属や年齢に関係なく誰もがゆったりと集える雰囲気があり、とても居心地が良く、娘とともに楽しい時間を過ごさせていただきました。

子どもたちによる蚤の市、訪れる人々で賑わっていました

2024年11月23日(土)、24日(日)の2日間にわたり、ぶんじ寮4周年を祝して「しょうもない万博」が開催されました。23日のお昼過ぎに伺うと、庭先でこども蚤の市が開催されていました。子どもたちの手作り小物のお店、飲み物やさん、また射的、ボーリングといったゲーム屋さんなど個性豊かなお店が出店されていて、和やかな楽しい雰囲気でした。

国分寺市全域で行われているぶんぶんウォークの開催期間中ということもあり、ぶんじ寮全体がとても賑わっていました。寮内と中庭では、ぶんじ食堂、住民とご近所さんのライブ、住民による写真展、テントサウナなどが行われ、屋上ではこくぶんじカレッジの皆様による焚き火が行われていました。夜にはイエノミ、公開ぶんじ寮住民ミーティングなども行われていたそうです。

※こくぶんじカレッジとは、「まちが自分ごとになる」をテーマに国分寺の街を楽しむ活動を始めたい人、地域とつながる事業やお店の新しい形を考えたい人、それらの活動をサポートして街をもっと元気にしたい人が学び活動する連続講座です。(こくぶんじカレッジのHPより引用:https://kokubunji-college.net)

これらのイベントは、ぶんじ寮という場所とその住人が地域の人・外部の人と繋がるきっかけになってくれるものです、とのこと。今後はもっとたくさんの方に参加してもらえるようにしていきたいと幡野さんご夫妻はおっしゃっていました。

管理人室横の壁にたくさん貼られている青音ちゃんの写真にぶんじ寮のみんなが温かく成長を見守っているのを感じました

ぶんじ寮に引っ越してきて出産し、子育て真っ最中という幡野ご夫妻、私自身も子育て中ということもあり、ここでの子育てについてお聞きしました。

お子さんができて寮での生活に変化はあるかどうかお聞きしたところ、ha幡野さんは特に変化はないとのお即答でした。奥様の悠さんは即答されたことに少し驚かれていましたが・・・。寮に赤ちゃんがいるという環境は、ぶんじ寮の住人にとってそれぞれに変化があったのではないかとお聞きすると「仕事が忙しいときや自分たちの体調が悪いときには寮のみんなが交代で保育園の送迎をしてくれ、夜に用事があるときには青音ちゃんをお風呂に入れ、寝かしつけもしてくれることもあります」と悠さん。青音ちゃんの存在を寮のみなさんが自然に受け入れ、共に過ごしている様子が感じられました。ぶんじ寮の住人のお一人、櫻林栄吉さんは現在、保育士の資格を取得しようと勉強中だそうです。栄吉さんはもともと子どもが好きで保育士という仕事は憧れの1つだったとのこと。思いはあっても行動できていなかったところ、ぶんじ寮で青音ちゃんと触れる機会ができ、それが資格取得に向けて勉強を始めるきっかけになったそうです。

子育てが閉塞的になりがちな今日この頃、両親以外に子どもを見守る目がたくさんある環境はとても稀少なことに感じました。「ぶんじ寮に住んでいなければ2人きりの子育てなので、もっともっと大変だったかもしれない」とお2人そろっておっしゃっていました。ここはお2人が子育てをしながら父親、母親としてだけでなく自分らしくいられる場所、それは青音ちゃんが育っていく過程でも大切なことだと思いました。

ぶんじ寮のオープンから4年半、今後の展望についてもお聞きしました。

イベントなどを通し、ぶんじ寮をより開かれた場所にしたいと考えていらっしゃるそうです。まちの人にもっと気軽に出入りしてもらえる場所になるといいなとおっしゃっていました。実際にこれまでにここへ出入りした近所の方は、両親ともお仕事などで留守のときに寮にやってくる小学生、寮生とバンドを組んで練習をはじめたおじいさま、共有スペースで1人くつろぐ年配の女性。その方が逆に寮生をご自宅に招いて夕ご飯をご馳走する、ということもあったのだそうです。このように、地域の方がふらっと立ち寄れる場所に、ゆっくりゆっくり育っていくと良いなとお話しくださいました。「公園みたいにいろんな人が出入りしたら面白いよね」と幡野さんはおっしゃっていました。

子育てをする中で、全身全霊で遊ぶ子どもたちをみて、生きているなあと感じることがたくさんあります。そしてふと、人はいつを境に世界と全力で対峙することから遠ざかっていくのだろうと考えてしまいます。

幡野さんにご自身の在り方についてお聞きすると、「‘何ものにもとらわれず、遊ぶように生きたい’という願望が日々の活動に繋がっているように思う」とのお答えが返ってきました。

ぶんじ寮を訪ね、幡野さんご夫婦のお話を伺い、住人の方ともお話をして、少し大袈裟なようですが‘本気で生きる‘ってなんだろうという思いが頭をよぎりました。ぶんじ寮は、大人が本気で遊び立ち止まって考えることのできる場所、そしてそんな大人が集う場所は、大人にとってもこれからを生きる子どもたちにとっても豊かで面白い場所なのではないかと感じました。

  • 施設利用者へ一言

人との関わりの修行に来てください!!

今後は、高齢者の方(バリアフリーが完備されていないため、その点は今後の課題です)、子育て世代の方にもぜひいらしてほしいです。寮の住人以外の方のイベント開催も募集中です。シェアキッチンの利用をご希望の方もぜひお声がけください。ダメなことはありません、とりあえずやってみる、問題が起きたらそのときにみんなで考える、それがぶんじ寮です。

 

幡野雄一さんのぶんハピ 国分寺歴 37年

やりたいことを口にしたときに面白がってくれる仲間がいること

 

悠さんのぶんハピ 国分寺歴4年   青音ちゃん国分寺歴 2年

幡野さんご家族。愛猫のぶんじ(愛称ののちゃん)と一緒に

ぶんじ寮の屋上
好きなポイントは広いところ。こんなに広い屋上は高級住宅にでも住んでいない限りなかなか得られないので (笑)。
周りに高い建物が少なく見晴らしが良いところも好きです。春には桜、夏には花火、秋には柿、冬には富士山が見えて四季も楽しめます。是非一度来てみてください!

 

ぶんじ寮HP: https://lit.link/bunjiryo

ぶんじ寮Instagram:https://www.instagram.com/bunji.ryo/

ぶんじ寮Facebook:https://www.facebook.com/bunji.ryo/

連絡先:

 

 

取材:ぶんハピリポーター

 


ぶんじ寮 その1

‘遊び’を中心に地域に開かれた

新しいまちの交流の場に

門につけられた手作りの看板

※今回は、2回に分けて記事をまとめました。

まず1回目はぶんじ寮についてご紹介します。

武蔵国分寺公園の南側、国分寺崖線の湧水で有名なお鷹の道・真姿の池湧水群を過ぎてさらに南へ少し行くと、畑の残る緑豊かな住宅街の中に、ぶんじ寮が見えてきます。3階建ての白い大きな建物、屋上も見えます。ぶんじ寮と書かれた手作りの看板がかけられた門を抜けると左側にはビニールプールに水を張った田んぼがあり、刈り取りの終わった稲が稲架に干されていました。

プール田んぼの奥には畑があり
どちらも寮の住人が世話をしている

ぶんじ寮は、国分寺に本社のある会社の独身寮として使われていた建物を改修してオープンした‘まちの寮’です。敷地は約220坪、中庭を挟んで旧館、新館と呼ばれる2棟からなります。旧館の1階にはお風呂、シャワー室、机と椅子が置かれた小さなホール、管理人さんの部屋(キッチン、トイレ、お風呂付き)があります。2階には6畳ほどの個室が12部屋あります。

ぶんじ寮外観

 

中庭を抜け新館へ向かうと、1階に洗濯室、食堂とキッチン、ソファや本棚が置かれたゆったりしたリビングのようなスペースがあります。新館の2階には8部屋の個室があります。1階にあるキッチンやお風呂、洗濯室、リビングは寮の共有スペースです。

シャワールームは寮オープンのときに新設した手作り

ソファの置かれたリビングスペース
手前はダイニングテーブル

新館1階のリビングスペースをお借りして、寮の管理人をなさっているご家族、幡野雄一さん、悠さんにお話を伺いました。お2人は、寮に住みながら青音ちゃん(2歳)の子育て中です。

雄一さんは、ぶんじ寮の発起人、企画者のお1人です。お父様の代から国分寺に住む根っからの国分寺っ子だそうです。若い頃から‘生きるとは?人はいかに生きるべきか?’と思考し続け、ヒッチハイクや野宿生活などを経験した後、大学に入学、仏教を学びます。卒業後は子どもたちのための探究型の学習塾や、哲学対話の場作りなどの活動を行っていました。

 

新館2階の個室は6畳ほどの広さでベッドが設置されている

コロナ禍の2020年6月、現在の建物の存在を知り、この場所で何か面白いことができないかと仲間とともにその使い方を考える『妄想会議』なるものを開催します。

同じ頃、西国分寺のクルミドコーヒーのオーナー影山知明さんは、コロナ禍の影響もあり、お金に頼りすぎている現代の生活に疑問を感じ、暮らしに必要なお金を半分にできないか、まちの寮のようなものを作れないかと考えていました。

そんなお2人と地域の仲間が、その建物を利用して、一緒に寮をつくろうとなり、建物の改修費用を募るためにぶんじ寮プロジェクトのクラウドファンディングを立ち上げます。クラウドファンディングは無事成功し、物件との出会いから約半年後の2020年11月、ぶんじ寮がオープンします。

業務用のコンロや冷蔵庫が備えられた本格的な共同キッチン

幡野さんに「ぶんじ寮の最初のコンセプトは?」と伺うと、「特になし!」とおっしゃっていました。しかし、ぶんじ寮オープンの際に収録された、プロジェクトメンバーのみなさんが寮への思いを話す『ぶんじ寮トーク』という動画を見せていただくと「大人の本気の遊びをしたい、子どもたちにもそんな国分寺の面白い大人をたくさん見てほしい」と幡野さんが話してらっしゃいました。当初から『遊び』というキーワードがご自身の中にあったようです。
寮のオープンに際し、常駐人が必要となり、幡野さんは悠さんと一緒に「寮を管理しない管理人」を条件としてぶんじ寮に住むこととなったそうです。

現在、寮の家賃は4万5000円/月(部屋代3万1000円、光熱費14000円)だそうです(部屋によって多少金額が異なります)。現在、10~50代の、男性14名・女性7名が住んでいるそうです。

1階のリビングの奥にはゲストルームが2部屋あり、使用料は3500円/泊(2日目以降は3000円/泊)とのことです。ゲストルームは、育児休暇を利用して兵庫県から1ヶ月ほど滞在した日本人家族やSNSでぶんじ寮を知ったアメリカ人家族が6ヶ月ほど滞在したこともあるそうです。ゲストルームは、空いていれば誰でも宿泊することが可能です。

部屋番号のついた食品棚のカゴは最近設置されたもの。所有者がわかるようになった反面、グレーゾーンがなくなったという声があるのもぶんじ寮ならでは

ぶんじ寮の入居に条件はあるかどうかとお聞きしたところ、「特にないです。どんな方でもいらしてください!」とのことでした。入居希望が重なったらくじ引きになるそうです。

共同生活のルール決めはあえて行っていないとのこと。幡野さんご夫妻は『管理しない管理人さん』、「何かが起こらないようにとルールを決めてしまうのはつまらない、とりあえずやってみる、何か起きたらその時にみんなで考える」と雄一さん。

悠さんからも「住み始めてみんなで揉めたり話し合ったりしながら、だんだん感情が出せるようになる人もいます」とのこと。人と人が顔を突き合わせて話し合う関係が希薄になりつつある昨今、ぶんじ寮での住人同士の関わり合いはとても貴重なものに感じました。

ぶんじ寮が地域でどのような活動を行っているのか
続きをその2でご紹介したいと思います。お楽しみに!

 

取材:ぶんハピリポーター

 


ほんだ自然農園

無理なく人と生きものが共存し
循環する野菜づくりと暮らしを実践

本多さんの畑にて

国分寺で唯一、自然農を営む「ほんだ自然農園」の代表である本多知明さんをご紹介します。

本多家は、代々植木屋農家さんだったそうです。本多さんが自然農を始められたのは2011年頃からで、1冊の自然農の本を読んだことがきっかけでした。当初はなかなかうまくいかなかった栽培方法も試行錯誤を続け、5年ほど前から徐々に現在の形になっていったそうです。 (2023年現在)。

栽培方法には無農薬、自然農、有機栽培やオーガニックといろいろあります。分け方には所説あるので、一例としてご紹介します。

秋に収穫した野菜を使って収穫祭をした
こともあります(とっても美味しい!)

 

有機栽培とは

基本的に農薬や化学肥料を使用していないのですが、有機質肥料は使用し栽培した野菜のことで、日本では「有機JAS」の認定を受けた生産者のみ「有機栽培」「有機野菜」「オーガニック」という言葉を使うことができます。農薬の使用を認めている場合もあるようです。

無農薬とは

畑全体の様子

公的機関の認定はなく、化学農薬不使用で生物農薬使用のものや一切の農薬不使用のものなど、それらは野菜の総称であって栽培方法ではありません。

自然農とは

こちらも公的機関の認定はありません。一般的に一切の農薬と肥料を使用しない栽培方法のことを指しますが、それぞれ独自の栽培方法を行っているため、自然農と一言で言っても決められた方法がある訳ではないと本多さんがお話ししてくださいました。

鍬と鎌があれば大丈夫!

本多さんの自然農は「耕さない」、「肥料をあげない」、「雑草を抜かない」、「水をあげない」方法で、草や虫と仲良く、自然の力で野菜を育てていらっしゃいます。

畑体験で一番初めに本多さんとお会いした時、鎌と土(と種)があれば自然農は出来るとおっしゃっていました。耕さないことで生き物を殺さないようにし、土を保護することで元気な草が育ち、枯れた草を土に重ねておくことで夏の暑さで乾燥が続いていても草の下は湿っているため、本多さんの畑の土はフワッフワです。

鎌と土があればとおっしゃっていますが、本多さんが自然農に適した土づくりのためにやっていることを伺いました。

土づくりのために植えたクリムゾ ンクローバー

その一つに緑肥というものがあり、主としてマメ科の植物を肥料とするため種を蒔くという方法を行っているということでした。

自然農は手間がかかるのではないかと思ってしまいますが、土づくりができれば農薬や肥料を買ったり撒いたりする必要がなくなります。自然(虫や植物 による) に任せた土づくりができ、土がさらに良くなるという最高に良い循環になります。本多さんが「畑は外から持ち込まず、外へ持ち出さない」とおっしゃっていたのはとても納得できます。

土を乾燥させないよう、刈った草 や藁をかぶせます

 

子どもの頃から動物や昆虫が大好きだった本多さん。国分寺の中でも取り分け自然豊かな場所で育っ たからなのかもしれないとお話ししてくださいました。栽培方法も機械を使ったような工業的な作業ではなく、もともとあるものを生かし、無理のない形で栽培することを考えたそうです。農家さんにとって虫は天敵と考えがちですが、虫を敵にせず、環境を変えず共存できる自然農を選び、始められました。

環境に配慮された本多さんのお宅

 

ご自宅を数年前に立て替えた時も環境に配慮した工務店さんに依頼をされたそうです。山を大事にする考えのもと、素材がゴミにならないよう環境に配慮された家づくりです。お話しをうかがっていると、自然農だけでなく、本多さんの暮らし方そのものが「無理のない形で共存する」という言葉に集約されているような気がします。

暖炉用の薪

 

「したいことをしているだけ」と笑顔でお話ししてくださいましたが、「したいこと」を実現できる力強さを感じます。お話しを伺いながら、自然と共に暮らされている本多さんの周りはそのお人柄を表すようにいつもおだやかでゆっくりとした時間が流れているように感じました。

2023年3月を区切りに畑体験等のイベント企画はお断りし、当分の間は自然農に集中されるとのことでした。

暮らしの中に土と触れ合える時間があることで、種から育てた野菜の香りと味をより身近に感じられ、生きるパワーにつながっています。

そんな機会をくださった本多さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

 

本多智明さん奥様と一緒に

本多さんのぶんハピ 国分寺歴 50年

ありきたりではありますが、緑豊かなところは国分寺の特徴だと思います。
色々な面白いことをしている人が多く、人と人のつながりがあるのは魅力的です。

 

 

ほんだ自然農園さんのお野菜は以下の場所で販売されています。

・直売所(おたかの道沿い。おたカフェ近く)

 

取材:ぶんハピリポーター

 


国分寺の防災〜防災公園編〜

防災シリーズの最後は防災公園です。

国分寺市内の公園に防災設備をもつ防災公園があるのはご存じですか?

国分寺には2種類の防災公園があります。

1つは東京都が管理する都立防災公園※1の武蔵国分寺公園。もう1つは国分寺市が管理している市立公園です。

※1都立防災公園は「避難場所」や「活動拠点」に指定され、震災から市民の命を守る重要な場所となっています。都立公園には、公園58ヶ所が「避難場所」とされているほか、35ヶ所が「大規模救出・救助活動拠点」や 「ヘリコプター活動拠点」などに指定されています。 (都立公園協会HPより)

武蔵国分寺公園には、避難誘導灯、ソーラー照明灯、防災トイレ(マンホール型)、災害救援ベンダー※2が設置されています。

※2災害救援ベンダーは、災害・緊急事態発生による停電時に管理者の操作で商品を無料で提供する自動販売機

 

一方、国分寺市の市立防災公園は、7公園あります。

南町ひだまり公園(マンホールトイレ)

日吉町ポプラ公園(トイレスツール,収納ベンチ)

窪東公園(マンホールトイレ)

けやき公園(マンホールトイレ)

北町公園(かまどスツール)

高木町ふれあい公園(マンホールトイレ)

西町あおぞら公園(かまどベンチ)

 

公園の防災設備は普段は収納されているので、その存在に気付きにくいですが、実は公園内に表示されていることもあります。

マンホールトイレ(窪東公園)

公園内の貼り紙

マンホールトイレ(けやき公園)

 

防災トイレ設置写真(武蔵国分寺公園)

設置イメージ

トイレスツール(日吉町ポプラ公園)

収納ベンチ(日吉町ポプラ公園)

かまどベンチの使い方

1 ベンチの座る部分を外す

2 地面と同じ高さのコンクリ面に燃料を置く

3 壁面のでっぱりに金網を差し込む

4 火をおこし、鍋などを置いて使う

ベンチによって形や使い方は多少異なります。
外した部分は、テーブルとして使えます。

これらの設備を、使用するかどうかの判断・解錠について、市に問い合わせたところ、鍵を預かっている町内会や防災会の方が行い、自治会住民等と協力しながら設営します。なお、かまど利用の際、燃料やなべかまは、自治会や防災会、地域の方の持ち寄りで使用することになるそうです。

 

全国の都市公園では、公園内の防災設備を知ってもらうため、公園に遊びに来た人が気軽に楽しめるイベント「そなえパーク」を、毎年東日本大震災発生時期に合わせて開催しています。

都立武蔵国分寺公園では、今年度3月5日から13日までの9日間実施されました。園内の防災設備に隠されたワードを集める防災ワードラリーが行われ、4つ集めると先着で防災てぬぐいがもらえるという内容でした。

 

国分寺市では、市主催の防災公園を活用した避難訓練は実施していないそうですが、自主防災組織や自治会・町内会等による訓練を行っている地域があるそうです。

都立防災公園の詳細については東京都立公園協会のHPから防災公園総合ハンドブックをダウンロードできます。イラストや写真が満載で、とても分かりやすい1冊になっています。

また、やさしい日本語や外国語表記も選べるようになっています。
合わせて、ご活用下さい。

 

ぶんハピねっと10周年記念企画として防災を取り上げ、4回にわたって掲載しました。いかがでしたか?
私達も知らないことがたくさんありました。ここ数年いろいろなところで自然災害が起きています。
これらの記事を読んで、家族や職場で防災について話し合い、備えるきっかけにしていただけたら幸いです。

 

参考:東京都公園協会公式ホームページ 国分寺市公式ホームページ
マンホールトイレ設置写真提供 国分寺市総務部防災安全課まちづくり係

 

取材:CHEERS


国分寺の防災〜避難編〜

防災シリーズ 第3回のテーマは、避難です。

市内に立てられた避難場所の案内看板

避難について

避難と聞くとまずは避難所へとイメージされると思いますが、災害を受けた被害状況によって避難する場所が変わります。自宅に居て地震が起きた場合、まずは、家の近くにある公園など地区災害待避所へ避難。その後、危険度の大小によって地区防災センターへ更に避難し、家の災害状況によって自宅へ戻り在宅避難、または避難所で避難生活をする場合に分かれます。自宅のある地域で指定された避難所があるので調べておくと良いですね。外出時は、外出先の駅周辺の避難施設なども確認しておくとさらに安心です。

また、家族間で連絡方法や待ち合わせる場所などを事前に話し合っておくこともお勧めします。

市内の避難場所・避難所はこちらを参照ください。

※地区防災センターとは、避難場所、避難所、医療救護所、物資配布場所、情報伝達場所の機能を備えた地域の拠点のこと。市立小中学校、都立国分寺高校と東京経済大学が指定されている。

※避難場所は、災害時に安全を確保するために一時的に避難する場所で、各学校のグラウンドを指す。

※避難所は家屋などが被災した市民を一時的に受入保護する場所で、各学校の体育館と教室の一部を指す。

以下、災害が起きた際の大まかな流れです。

【避難の流れ】参考:国分寺市公式ホームページより

※要配慮者とは、高齢者、障がい者、乳幼児のことを指す。要配慮者の移動は、NPO法人国分寺ハンディキャップ運営委員会と国分寺市が提携している協定に基づいて移動手段を確保しています。

コロナ禍における避難の流れはこちらを参考にしてください。

国分寺市ではペットと共に避難はできますが、避難所内では別々になるそうです。また、ペットフードや猫のトイレ用品などは持参が必要です。環境省発行のパンフレット「ペットも守ろう!防災対策」を参照ください。

避難所に収容しきれない避難者への対応について市の防災課に伺ったところ、地区防災センター以外の公共施設を順次避難所として開放したり、近隣の自治体と連携して他市の避難所を利用可能にするなどの対応を行うとのことでした。また、小学校のグランド内に車中避難やテントを張れるスペースを確保しているそうです。

なお市内の公園は、他市からの応援、自衛隊の救援などで駆けつけた方の宿泊場所として考えられているため勝手にテントを張るのはNGです。

 

在宅避難

ライフラインが断たれたとしてもなんとか自宅で過ごせるのであれば、普段の生活場所で過ごせてプライベートが保たれる在宅避難をする方も多いと思います。ただ、心配なのは、支援物資や給水などの情報ですよね。これについても防災課で聞いてみました。

【情報の入手方法】

在宅避難者が情報入手する方法(給水車/支援物資のお知らせなど)

1)直接、近くの地区防災センターとなる小・中学校・国分寺高校・東経大、または地区本部にて入手。

2)防災無線の放送から入手。

3)国分寺市防災・防災ツイッターから入手。

4)FMたちかわ(4MHzから入手。

FMたちかわは、国分寺市と防災協定を締結しているのでラジオから情報を入手できます。

※FMたちかわは、国分寺市以外に立川市、昭島市、武蔵村山市、国立市、東大和市とも防災協定を締結しています。住んでいる場所によっては受信状況が悪いところもあるようです。カーラジオだと受信状況が良いとのことでした。

 

自治会について

市内では自治会のないところも多くなり、現在では自治会への加入世帯は全体の40%前後だそうです。(国分寺社会福祉協会資料より)

自治会などの防災会に加入している世帯は、自治会を通して情報や支援物資を受け取ることができますが、加入していない場合は、個人で近くの地区防災センター行くことになります。そのため災害時の備えとして自治会や町内会を新たに作っているところもあるようです。

自治会を作るのに必要な手続きは、特に決められた方法はなく地域の市民団体として申請をして作ることができます。詳しくは協働コミュニティ課のこちらへ。

自宅近くに自治会や町内会がある場合は、そちらに加入できます。近くの自治会の有無は、マップで探せます。自治会マップはこちらへ。

国分寺市の2022年2月1日現在の人口は、12万7769名、世帯にすると6万2967世帯です。東京都が平成24年4月に公表した被害想定によると市内の約58000人が避難行動をとり、避難所にくる市民は、38000人と想定されています。市内にある地区防災センターの避難所での受け入れ可能人数は、約18000人(3.3平方メートルに2人で算出。コロナ禍では4平方メートルに1人のため約7,500人)で避難希望者を全て受け入れるのはほぼ不可能な状況です。(参考:東京都のHP、国分寺市のHP)

そこで、避難の前にまず「普段の生活でできる備え」をまとめてみました。

 

避難の前に

【普段の生活でできること】

1)自宅内の防災:家具の固定・窓ガラスの飛散防止フィルム・キャビネットストッパー・ラジオ

2)外出時に持参したいもの:歩きやすい靴・大判ストール・リュックサック・保険証・お薬手帳・免許証・マタニティマーク・母子手帳・水筒・おやつ

3)寝室での防災

・頭の上から重たいもの等がおちてこないところで寝る。

・寝ているそばに避難用の靴を置く。

・めがねや携帯、杖、懐中電灯などは枕元に置く。

・寝室には割れにくい素材の小物を置く。

 

【災害時や避難に役立つアイテム】

・ライフライン
携帯充電器(手動や太陽光などで充電可能な物)・浄水ポット・カセットコンロ・冷感タオル・懐中電灯・ヘッドライト・テント・寝袋・大判のビニールシート

・トイレなど衛生用品

使い携帯用トイレ・消臭袋・消臭スプレー・アロマオイル・凝固剤・黒いビニール袋

・身分証明書・筆記具・メモ帳・家族の写真

・情報 市内のハザードマップ・ラジオ

・その他

大判のハンカチ・レジ袋・段ボール・新聞紙・防犯ブザーや笛・テント・寝袋・大判のビニールシート

 

【備蓄品】

備える⇄消費する⇄買い足す

普段使用している物を消費しながら備蓄するローリングストックがおすすめ。

1)食品・飲料

・3日分の食糧を目安に1週間分以上を見越して備える。

・食べ慣れた物、好きなおやつや飲み物も少し多めに買ってストックする。

2)生活用品

ラップ、ポリ袋、ゴミ袋(黒色もあると便利)などは避難所でも何通りにも使えるので便利。

3)衛生用品

トイレットペーパー・ティッシュペーパー・キッチンペーパー・ウェットティッシュ・石鹸・消毒スプレー・マスク・パンティライナー・生理用品、紙おむつなど

4)その他 ろうそく・電池・チャッカマン・ガスボンベ・ペットの餌など

以上、災害時の避難についての情報をお届けしました。災害というのはいつ起こるかがわからないのが最大の問題です。いつ起こっても慌てないように年に数回、レジャー感覚でガスや電気を一切使わずに備蓄品だけで過ごす日を作ってみるのも良いかもしれませんね。自治会については、今回の特集で改めて必要性を感じました。私の地域も自治会がなくなってしまったので、この機会に自治会について近隣の方たちと考えたいと思いました。

参考:国分寺市公式ホームページ、国分寺社会福祉協議会ホームページ、東京都ホームページ、東京都発行の冊子『東京くらし防災』

 

  • 東京都が発行する冊子『東京くらし防災』 普段の心構えなど女性目線で分かりやすくまとめられています。
  • 東京FMの『防災NAVI』サイト 都内の災害に関する必要な情報がまとまっています。

 

取材:CHEERS