認定NPO法人 Ohana(オハナ)

緑を通して障がい者の就労支援と
地域とのつながりをひろげる場づくり

かわいらしい看板が掛けられている事業所の入り口

皆さんは国分寺市役所や国分寺市南町地域センター前の花壇の手入れを誰が行っているかご存知でしょうか?実は認定NPO法人Ohana(以下Ohana)が国分寺市障害者施設お仕事ネットワーク*の窓口となって、東京都と国分寺市から委託を受けて行っている事業です。

新町の事業所に伺って理事の加藤徳寿さんと職業指導員で緑のお仕事部門を担当する奥濱真奈香さんにお話をきいてきました。

*お仕事ネットワークとは、受注を促進するための国分寺市内の障害者施設の共同体です。

Ohanaは。障がい者の親たちが子どもたちの地域での居場所をつくりたいということで、当時、養護学校を退職した現理事長の春口さんや園芸療法を行っていた萩野さんたちが力を合わせて立ち上げました。Ohana(オハナ)とはハワイ語で家族という意味、障がいのある人もない人も地域で家族のように支えあって生きていけたらとの思いからこの名前を付けたそうです。

事業所のすぐ裏にあるビニールハウス
途中休憩も事業所内で過ごすことができるようになった

Ohanaでは就労継続支援B型事業所としてオハナ農園を運営し、造園や園芸療法の専門資格を持つ職員を中心に、障がいのある方の働く機会と場を提供しています。「現在国分寺市から委託を受け市内3か所*の花壇管理や市立公園19か所の清掃等を行い、地域のみなさんに草花を楽しんでもらえるようにと活動しています」と奥濱さん。

*国分市からの委託花壇(市役所、南町地域センター前、南町都営住宅前)

2017年12月に戸倉から新町の一軒家に事業所を移したばかり、事業所の裏には作業場(ビニールハウスと畑)が地続きでつながっています。花壇の花は、ハウスの中で種から育てられ、芽が少し大きくなるとポットに移してとひとつひとつ丁寧に栽培しているそうです。

一般に障がいのある方が行う作業は、ルーチンワークになることが多いそうですが、ここでは種から育てて花壇に植えるまでのすべてを利用者が行っています。「正直なところを言えば、職員が代わりに種をまいて育てたほうが簡単で作業も早いのですが、それでは支援にならないので、利用者さんが自分たちで作業ができるように必要な道具を私たちが作るなどの工夫をしています」と奥濱さん。

現在25名いる利用者のほとんどが国分寺周辺の方ですが、練馬や松戸から通っている方もいるとのことでした。

花の名が書かれたカードは利用者が手作りしたもの

緑を育てる作業を通して土や自然に触れると精神的に安定し、また自分で考えたり、観察したり、さまざまな過程を経験することが利用者の自信へとつながっているそうです。利用者と職員が一緒に話し合って使う花や配置を決めていくそうですが、「この花を植えたい」という利用者の考えは職員が思いつかないことも多くあり、それ故に他にはない面白い花壇になっているとのことでした。

お鷹の道へと緑が流れていくようにみえる南町都営住宅前の花壇

花壇はテーマパークのような派手なものではなく、国分寺らしさを出すことを意識して作っているそうです。花を植えるだけでなく、水やりをしたり花殻をつんだりと日々手入れをしているので、「作業をしている姿を見かけたらぜひ声をかけてください」と奥濱さん。「綺麗だね」と声をかけてもらうと利用者の励みになり、作業へのモチベーションもあがるとのこと。また住民の方たちから花壇への感想が直接きけるのもうれしいとのことでした。

事業所の引っ越しを機に地域の人たちに自分たちの活動を知ってもらいたいと、2018年5月に新町樹林地まつりをおこなったそうです。今後も緑のお仕事の活動を通してもっと地域とのつながりを作っていきたいとのことでした。

 

リポーターの感想

何げなく眺めていた花壇が、種から一つ一つ丁寧に育てられていたとは驚きでした。事業所のビニールハウスの周辺もお花が多いと思ったのですが、実際に花壇へ植える前の練習場所にしているそうです。お話を伺ってから花壇を見ると、お花からも利用者の方や職員の皆さんが大事に育てた花への思いが伝わってくるような気がしました。企業のように利益優先ではなく、利用者の方の支援が大前提、障がいのある方の支援と地域貢献の両立を目指す姿が印象的でした。

障がいのある人もない人も誰でも地域の中でイキイキと暮らせるように頑張っているOhanaさんの活動をたくさんの人に知ってもらいたいなと思いました。

 

加藤さんのぶんハピ 国分寺歴 3年

緑のお仕事担当の奥濱真奈香さん(左)と理事の加藤徳寿さん

武蔵国分寺周辺

武蔵国分寺の楼門あたりはゆったりとした時間の流れていて、この場所を通るたびに気持ちが落ち着きます。

 

奥濱さんのぶんハピ 国分寺歴 9年

自然の多いお鷹の道

自分が担当している南口の花壇は、お鷹の道をイメージして作っていることもあり,桔梗やナデシコなどなるべく野の花を多く植えるようにしています。国分寺の北口が開発されビルも多く栄えている中で、南口の自然がたくさん残るお鷹の道は心が安らぎます。

*Ohanaでは農園や国分寺周辺でとれた野菜や果物を使用したパウンドケーキを作る工房 (GOOD BERRY CAFE)もあり、「カフェといろいろびより」(http://bunjihappy.com/archives/7969

や「国分寺市障害者センター」(火・金12:00~13:00)のロビーなどで販売しています。機会があればぜひ食べてみてくださいね。

取材:ぶんハピリポーター

施設情報

認定NPO法人Ohana(オハナ農園)

場所:国分寺市新町1-18-9

電話:042-207-7687

http://www.npoohana.org