子育ても仕事も自分らしく生きられる社会に
「人生は自分で選ぶ」をサポート
出産や育児、介護などのライフイベントをきっかけに女性は「家庭か仕事か」悩みがち。でも、二者択一の人生ではなく選択肢が溢れる未来、そして女性が選びたい人生を自分で決めて自分らしく生きられる社会を目指して、国分寺を拠点に全国で活躍する堀江さんにお話を伺いました。
今までの仕事
1.人材業界のベンチャー企業
堀江さんの最初の仕事は人材業界のベンチャー企業。「初めから独立することを決めていた」という堀江さん。そのきっかけは、就職活動中に仕事と子育てを両立できなさそうだという理由で内定を断った大学の友人でした。なぜ両立できないと決めてしまい将来に不安を抱き、目の前の希望を諦めるのかと疑問に思った堀江さん。調べるうちに働きづらい社会の現実を知り、いつか自分で変えることを心に誓います。
就職活動に臨むにあたり、独立に向けた準備期間を過ごすために適切な会社の基準を決めました。その基準とは、①営業が担当できる、②モノではなく自分の努力で売ることが求められるサービス業、③女性管理職がいる、④3年で退職する予定を伝えても面白がってくれる、でした。ベンチャー企業に就職が決まり、新卒ながら人事部の立ち上げを担当、キャリアコンサルタントとして新卒採用や内定者・新入社員研修などを担当しました。
2.訪問型病児保育を提供するNPO法人
「女性管理職を作る」という思いで採用や研修に尽力したものの、入社3ヶ月で3分の1が退職するというショッキングな体験をしたことをきっかけに、転職を考え始めます。転職先は「親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する」をミッションとし訪問型病児保育を立ち上げたばかりのNPO法人フローレンス。「綺麗事」と思われがちなミッションに真正面から取り組み実践していることに惹かれたそうです。当初はプロボノ(専門スキルを活かした社会貢献するボランティア)で関わるつもりでしたが、仕事で始発から終電まで仕事をする生活ではプロボノは無理だと判断。年収を大幅に減らすことを厭わず転職を決め、ワークライフバランスコンサルタントとして入社、2年半活躍しました。
3.独立
病児保育の利用者は子育てと仕事を両立すると決めた人が対象でした。フローレンスで仕事をするうちに「子育てと仕事を両立したいけれどできない人」を支援したいという気持ちを新たにした堀江さんは、2010年にNPO法人ArrowArrowを設立。長年の夢だった独立を果たします。
現在の仕事
仕事をしたいから結婚・育児を諦める、結婚・育児をしたいから仕事を諦めるという二者択一ではなく、仕事も子育ても両立したいと望む人が自分の進みたい道を進めるような社会にしたい。ArrowArrowは「子育てや介護等の理由に左右されず、仕事が当たり前に続けられる社会の創造」を目指して活動しています。
1.中小企業向け育児休業支援事業
優秀な社員が妊娠をきっかけに退職してしまうと経営に直結する中小企業を対象に、産前休業、産後休業、育児休業から復職までをトータルサポートするプログラム「産休!Thank you!」を提供しています。出産しても仕事を続けたい女性社員向けのキャリア講座も提供。受講者が次の受講者を呼んでくれる人気の講座になっています。同プログラムは『第11回女性起業家大賞』のスタートアップ部門(創業5年未満)にて審査委員会委員長賞(特別賞)を受賞しています。
2.ママインターン
妊娠や出産、子育て、介護などライフイベントをきっかけに仕事を辞めたけれど、もう一度社会とつながりを持ちたい、仕事をしてみたい方を対象に、学びと職場体験を通して自分らしい働き方を探すプログラム「ママインターン」を提供しています。
「結婚・出産・育児という経験を経たからこそ発揮できる価値やスキルが必ずあります。」と言う堀江さん。受講者からは「子育てと仕事の両立に向けて一歩踏み出すきっかけとなった」、「同じ想いを持つ仲間と出会えたことが嬉しい」と言う声が届いています。
公益財団法人日本財団のモデル事業としてスタートし、国分寺市との協働事業としては3期目。またJ.P.モルガとJPモルガン・チェース財団の支援を受けて各地域の団体と協力し、全国でママインターンプログラムを提供しています。
3.地方自治体職員向けキャリア研修
地方自治体の女性職員向けに、働き続けることやキャリアを作ることを考え、共にキャリアを構築する研修を提供しています。
堀江さんはご自身も子育て中。堀江さんの体験を踏まえてライフイベントごとの課題や実施しておくと良いことをまとめた「働き方デザイン本」(http://arrowarrow.thebase.in/items/518282)も発売中です。
堀江さんの時間の有効利用ポイント
応援しているアイドルグループのライブや映画鑑賞が趣味の堀江さん。ご自身が好きということに加えて、仕事のヒントが見つかる大切なインプットの場でもあるそうです。頑張りどころを決めて仕事に臨むのが堀江さん流の仕事術。ライブや仕事のハイライトから逆算して仕事の優先順位を決め、日々の仕事を頑張るそうです。
堀江さんにとって働くとは?
自分の世代の葛藤を次の世代に残したくないという使命感
「仕事が好きでしょう、と言われることが多いですが、仕事の95%は地味なことの繰り返しで喜びは5%くらい。」という堀江さん。それでも仕事にエネルギーを注ぐ原動力は何かと聞くと、子育てや介護と仕事の両立が難しいことへの不条理感を自分の子どもの世代に残したくないという使命感、という答えが返ってきました。「2つで迷ったら辛い方を選ぶがマイルール」という堀江さん。乗り越えてきた試練の数だけ社会を変える力になっているようです。
これからの仕事について
これまで女性の働き方をサポートしてきた堀江さん。これからは、パートナーである男性も自分らしく生きられること、そして女性のライフイベントを自分事として考えられることをサポートしていきたいそうです。そのための強力なパートナーが夫、三木智有さん。「スキル」で紹介しているNPO法人tadaima!の代表です。この強力ユニットで仕事と家庭の両面から家族を丸ごとサポートする新サービスが近々始動します。
堀江さんのぶんハピ 国分寺歴 6年
クルミドコーヒー
国分寺に引っ越す前からクルミドコーヒーに通っていたという堀江さん。国分寺への引っ越しはクルミドコーヒーがある暮らしができることが決め手の一つだったそうです。「元気がないとき一人で、ゆっくり話したいときお酒を飲みながら夫婦で過ごします。クルミドコーヒーが自宅の近くにあることが大きな安心感になっています」
取材を終えて
堀江さんは、仕事も子育ても自分の趣味も心から楽しみ、エネルギッシュ。パワーの源は、「自分らしく生きること」ではないかと感じました。生き方に正しい答えはない、という堀江さん。何を選択しても私がこうしたいが選択の軸になっている社会を目指しています。それをご自身や同僚を含めた女性、パートナーの男性、会社経営者など全ての関係者に向けて実践している姿がとっても自然体で輝いて見えました。