自身が癒されたアロマセラピーを仕事に
女性が「私に還る時間」を提供する
「星と香りのあしもみサロンOWL」のyuka(ゆか)さんは、東元町の「カフェスロー」や西国分寺の「まめカフェ」で定期的に施術を行うほか、出張トリートメントやワークショップなど、さまざまな方法で女性が「私に還る時間」を提供しています。子育てもしながら「OWL」の活動を着実に広げているyukaさんの「これまで」と「これから」を聞きました。
今までの仕事
1.アロマとの出会い
大学では映像芸術を専攻していたyukaさん。視覚的な表現について学びを深めていた4年目の冬に、日本国際博覧会「愛・地球博」の公式記録映像を制作するプロジェクトが発足。愛知県は祖父母も住むなじみの土地だったということもあり、卒業を待たずにスタッフとして働き始めました。
飛び込んだ職場は、全国のテレビ局や通信社が集まるプロフェッショナルの最前線。即戦力を求められ、大学卒業の浮き足立った気持ちを十分に味わう暇もないまま、必死で業務に食らいつく日々が続いたそうです。
映像の編集作業など長時間のデスクワークから、次第に肩こりや腰痛、生理痛が悪化。この時期に、ふと立ち寄ったアロマショップで買い求めた本とラベンダーオイルが、転機の鍵となりました。
2.視覚から五感へ
見よう見まねのセルフケアで自分自身が癒され回復するのを実感し、万博のプロジェクト終了後からアロマコーディネーター協会の資格取得に向けた勉強をスタート。同じ頃、「BeGood Café」ではじめて食べたオーガニックフードに衝撃を受けたことがきっかけとなり、食生活にも関心を持つように。
「それまで視覚にこだわってきたけれど、五感全てに興味が広がっていくのを感じた」と当時を振り返ります。
見事資格を手にしたyukaさんは、「元気になる余裕のない状況は、もう無理。アロマセラピーで自分だけでなく、人も元気にしたい。私は、これを仕事にする!」と決心。
東京に戻ると早速、アロマセラピーサロン「caon」のオープニングスタッフとして働き始めました。どんなお客さまでも、どんなメニューでも率先して対応したため、スケジュールは瞬く間にいっぱいに。
あまりの繁盛ぶりに疲れを感じ始めたころ、「気」を巡らせる「レイキ」という手法を習得。自分が疲れることなく施術ができるようになり、出産間際までいつも通り無理なく仕事を続けることがでたそうです。
3.出産を機に休業
長男を出産し国分寺に移ったばかりの時期は、周りに知り合いもなく、子どもとだけ過ごす毎日。ホルモンバランスの乱れに翻弄され、心が不安定になる日もあったといいます。
そんな頃、たまたま参加したヨガ教室の講師の姿が「子育て中でも、自宅近くでみんなに生き生きとヨガを教えている。そんな働き方もできるんだ」と印象に残ったといいます。刺激を受けたyukaさんは、長男が幼稚園に入るのを待たずにフリーのアロマセラピストとして活動する準備を始めました。
現在の仕事
自身も子育てをしながら、子育て中のお母さんや、疲れのたまった女性たちに施術を行ってきたyukaさん。二人目妊娠の休業中には「子どもとの関係を読み解きたい」とアロマ占星術もマスターしました。
「子どもも自分と違う人間なんだ、と理解することができ、自分自身を知ることにもつながりました」
お子さんの成長とともに施術以外のメニューも増え、アロマを使用した作品を作るワークショップ、占星術から導き出されたアロマを使ったプチリフレ、リトミック教室「オトノハ」講師akiさんとのユニットhahanoteでのベビーマッサージなど、さまざまな形に発展。最近では国分寺以外の場所にも活動の場を広げています。
気がつけば「caon」勤務のころのように「あなたがいい」と選ばれるサロンに成長していたのでした。
yukaさんの時間の有効利用ポイント
忙しくても、”呼吸”を意識します。5分間くらい瞑想するのが理想だけれど「5分だって無理……」と言う状況もありますよね。そんな時は、心を集中して数呼吸するだけでも頭がすっきりするんです。内臓の働きも良くなるし、頭を空っぽにする瞬間を作れると「変わった!」と感じます。
yukaさんにとって働くとは?
社会の『循環』の中の一人として、自分らしくいられること、かな。育児ももちろんその一つですが、私には育児と仕事の両方があってはじめて“自分らしい”と言えるような気がします。みんなが『循環』の中で、それぞれの“自分らしさ”を発揮できるといいな、と思います。
これからの仕事について
「たくさんの人を元気にしたい」
子育てをしながら、国分寺を拠点に活動の場を広げて8年。そろそろ二人の子どもも手が離れてきて、「OWL」のメニューを見直す時期に差し掛かっているといいます。
「これまでは『小さい子どもがいるから』『子育て中だから』と控えてきたことも、これからは『たくさんの人を元気にする』という覚悟を持って、もっと深く取り組んでいきたい」と話すyukaさん。
今後は、従来通りの施術の他に、現在hahanoteで伝授している赤ちゃん向けのマッサージやお母さんの簡単なセルフケアだけでなく「自分でできるトリートメント」、「家族にしてあげるトリートメント」などのより専門的・本格的な技術を伝えることで「お母さんが家族にとってのセラピスト」になれるようなメニューを増やしたいとのこと。
産後辛かった経験を思い返して習得した、産褥期のマッサージも行っていきたいそうです。
yukaさんのぶんハピごはん 国分寺歴22年
元気をもらえるお店の美味しいご飯
たくさんあってとても一つに絞れませんが、あえて言うなら好きな量を取っていただける『カフェスロー』のスロープレート。食材から厳選していて、味わいを楽しめます。
取材を終えて
映像制作時代の心身の辛さからアロマセラピーの門をたたき、産後の辛さから産褥期のマッサージを学び、子どもとの関係の難しさから占星術を勉強……。苦境に直面するたびに乗り越える武器を努力で手に入れ、バージョンアップをし続けていることに驚きました。
「アロマセラピーは、天職?」と尋ねると、仲間から「大きい」とうらやましがられたという手を見つめながら「これが天職……なのかなあ」と、つぶやいたyukaさん。しかし、これからの展開について訊くと「セラピスト育成のメニューも、本格的に考えていきたい」と、はっきり話す瞳は強く輝いていました。
柔らかな外見からは想像できないほどの強さとしなやかさを持つyukaさんの施術は、どっしりと優しく心と体を芯から癒します。これからも、たくさんの人に「私に還る」美しい時間を、誠実に手渡していかれることでしょう。
取材:ぶんハピリポーター