地元のカフェスタッフ、スクール講師の顔をもち
多摩を中心に町と関わり活動するライター
「はたらく」ページでご紹介するお一人目は、ぶんハピねっとを立ち上げる際に多くのアドバイスをいただいたフリーライター・エディターの石川理麻さんです。小柄だけれどいつもパワフルに多方面で働く石川さんにじっくりお話しを伺いました。
今までの仕事
新卒で新聞社のグループ会社に勤務。新聞社主催のイベントを企画・運営する部署で広報(チラシ・ポスター・チケットや告知記事の制作)や、会場スタッフの手配から当日の運営までイベントに関わる全ての業務に携わる。アウトドアイベントでは海や山へ参加者を引率する添乗スタッフを経験するなど、修行の日々が後々の仕事にも生かされることに。
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入社6年後、異動を機に「編集部で働く」という夢を叶えるため転職。
取材や原稿執筆だけでなく編集作業や写真撮影まで行うライター兼編集者として働く。記事広告を多く制作したことで、コミュニケーション力の大切さやアイデアで人を動かし課題を解決することのやりがい、「伝えたいこと」や「伝え方」を考える楽しさを覚える。
夢は叶ったものの、毎日終電まで働き、家と職場を往復するだけの生活に疑問を持ち退職。会社員生活の最後に編集長として管理職を経験したことはその後の人生で大きく役立つことになる。
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「“住まう”と“働く”を近くにしたい。住む町で働きたい。町の人と関わりたい」と、退職3日後にカフェ(クルミドコーヒー)のスタッフとして働き始める。同時に地域のイベントに参加して人とのつながりを広げ、企業・学校などの仕事を受注するように。地域ではおなじみ「ののわ」のイベントスタッフやライターを経験するなど町へのネットワークを広げ、東京にしがわ大学のサイト「にしがわカルタ」の「す」(住むまちではたらく)で取り上げられ、にわ大の講師も務めた。
現在の仕事 3つの「つくる」
1「媒体をつくる」ライター・編集者
新聞・雑誌・フリーペーパー・Webサイトなどで取材、執筆、記事広告作成など。フリーになってからのインタビュー数は2017年7月で600人になった。
2「人生をつくる」
専門学校の講師・エディタースクールの講師
カフェの学生スタッフの就活相談をきっかけに専門学校の講師に。就職活動を控えた学生に「限られた時間での伝え方」「情報を取捨選択する判断能力」「相手の心を動かす表現力」を身につける授業をし、エントリーシートを通過させ内定をもらうまでの過程をサポート。またライターを志す大人向けのスクールでも授業を行う。
3「地域で場をつくる」
クルミドコーヒーのスタッフ・コミュニティカフェで1日店主。
西国分寺にあるクルミドコーヒーのスタッフとして月に数回働く。
クルミド出版の冊子「そういえばさぁ」の編集スタッフ。
自分を「町の人」にしてくれた皆さんへの恩返しができたら、まだ出会っていない皆さんと出会えたら、とコミュニティカフェ「カフェといろいろびより」の日替わり店主に参加。月に2回、西国分寺在住22年の主婦・もりくみさんと2人で「りまくみ食堂」をオープン。「定食だけど定食じゃない定食(笑)」を提供する。
石川さんの時間の有効利用について
iPadを使ってあれこれ。電車で原稿を書いたりチェックしたり、お風呂でWOWWOWのドラマや映画を観たり。軽量のノートPCがあればiPadは必要ないと思っていましたが便利です。PCが壊れた時も大活躍でした。
石川さんにとって働くとは? 仕事をする際に大事にしていることは?
働くとは生きること 「皆でHAPPYになれる」仕事をしたい
「働くことは私が私であることで、だから、働くことは生きることなんです」という石川さん。安定した収入のある会社員からフリーランスになるとリスクが多いように思いますが、会社を辞めたことで得たものの方が大きかったそう。フリーになって一番大きく変わったことは、「自分を見失わないというか、私らしさを大切にするようになった。あとは、仕事をコントロールできるようになったことと、どんなにハードでも毎日が楽しいと思えるようになったこと」。ストレスフリーになって視野が広がったことでタイミング良く必要な時に必要な人と知り合うことができ、その縁が次の仕事へとつながっています。
フリーになった時に意識したことは、目の前に現れる仕事に飛びつかず、次の仕事につながるか互いに良い仕事ができるかを見極めること。まず年間で業務契約できる仕事から始め、その結果、企業・大学・行政の仕事が多くなり、次の仕事を受ける際の信用になっているとのことでした。
これからの仕事について
地域の人とイベントをしたり、仲間の焙煎所「TakaiTOCoffee」とコラボしたり、コミュニティカフェの活動を通じて「皆がHAPPYになることをしていきたい」と石川さん。初のイベントは国分寺出身のアコースティックデュオ“ふたば”のライブ。「ライブの場合、一人でも多くの人に知って頂いてファンを増やしたい。そして、選択肢がたくさんある中で国分寺の食堂まで来てくださった皆さんに楽しんで頂く。人と人が出会うのは奇跡だし、せっかく出会えたのだから続いていけば嬉しいです。ミュージシャンも関わる私たちも、ボランティアではなく仕事として成り立つ形で応援していけたらいいな」とのことで、今後も多摩地域や町の人達とのコラボを通して皆でHAPPYになりたいそうです。
また、「国分寺周辺には大学、高校、専門学校などがたくさんあるので、自分の住む町で(自転車で行けるところで)講師の仕事ができると嬉しい」とのことでした。
石川さんのぶんハピごはん 国分寺歴 11年
キムチタケシのキムチ
2016年の秋から始めた活動に「にしこくキムチ部」があります。子どもの頃に応援していた野球選手が販売に関わるキムチが美味しく、一人で部活動をスタートしてSNSで発信したところ、私も欲しい!どこで買えるの?と様々な反応があり、皆の分も一緒に注文したことがきっかけで部員がどんどん増え、クックパッドでレシピを掲載するとあっというまにアクセス数が1万PVに。キムチが届く日はご近所さんが次から次へと自宅に受け取りにきて、それをまた人へと渡していくので「にしこくキムチリレー」と呼んでいます。(笑)この活動で地域の新しい友達も増えました。甘辛のキムチはご飯がとまらない美味しさ。
りまくみ食堂でも月に1回提供しています。
取材を終えて
調布のある交流会で理麻さんと出会いました。理麻さんとの出会いがなければ今のぶんハピねっとは生まれていなかったかもしれません。今の自分があるのは、全てが縁だと言っていた理麻さん。今回の取材で常に軸がぶれず、妥協しない真摯な姿勢に仕事への自信とプライドを感じました。「転んでもただでは起きない」という理麻さん。1年後にどんな働き方をしているのか今から楽しみです。
取材:CHEERS