田中裕子さん(菓子工房スローロリス、菓子製造販売)

お菓子づくりが自己表現
マイペースで自分らしく働く

看板商品の米粉のシフォンケーキ
スローロリスのイラストロゴはお友達が描いてくれたもの

自分がどんな働き方をするのかを選ぶのは自分自身です。結婚・出産で仕事を辞めてしまった後、その後の働き方をどう選択したらいいのでしょうか?

一生涯続けられる仕事としてお菓子作りを選んだという、田中裕子さんにお話しを伺いました。

今までの仕事

菓子製造許可の為にキッチンを改装、流し以外に手洗い場を設置

百貨店で輸入陶器の販売を5年ほど経験、デザイン学校でグラフィックを勉強したのち、陶器を扱うギャラリーの立ち上げに関わり、コーディネイターとして勤める。仕事は土日の出勤があるため、結婚を機に退職。その後、子育てをしながら一生できる仕事を模索。

家でできる仕事として、布小物を作り、国立駅の近くでBOX販売をしていたが、その際にお菓子をだせないかと相談され米粉を使ったシフォンケーキを作ることに。シフォンケーキにしたのは、ママ友が手作りしてくれたシフォンケーキに感激したのがきっかけ。他と差別化するため当時では珍しかった米粉で試行錯誤し、今に続く看板商品、米粉のシフォンケーキを販売。

田中さんが長年愛用しているガスオーブン

末のお子さんが幼稚園に通い始めたのを機に、製菓の専門学校へ通って本格的にお菓子づくりの勉強をスタート。お菓子を作って欲しいとの依頼も多くなってきため、自宅キッチンを改装して菓子製造業の許可*を取得。

*お菓子等を自宅で作って販売するためには、自宅で使用するものとは別に、専用のキッチンや手洗い場などの設備が必要です。そのための設備を整え、保健所に申請をして菓子製造業の許可をもらって、はじめて販売用のお菓子を自宅で作ることが可能になります。

現在の仕事 4つの形でお菓子をお届け

1 受注販売

焼き菓子の詰め合わせ
左から紅茶パウンド、フィナンシェ、マドレーヌ

メインはフェイスブックやラインのタイムラインを通して、焼き菓子の注文を受けて直接手渡しで販売するスタイルです。スローロリス(サル科に属する動物の名前)という名前の由来は、スローにマイペースにという思いから。スローロリスが特に好きだったわけではないと笑う田中さん。受注販売にしたのは、顔が見えるお客さんに向けて販売でき、お菓子のロスも少なくない為、いまの形に落ち着いたとのこと。ホームページもあるが、口コミで注文がくることがほとんどだそうです。

田中さんがお菓子作りで大切にしていることは、「お菓子作りは自分表現だと思っているので、良い素材を使って美味しいものを作ること」。使用している材料は、国産米粉、国産小麦、有機栽培のレモン、生活クラブの卵や遺伝子組み換えでない菜種油、てんさい糖などを吟味して使用しています。てんさい糖は体を冷やさないと言われるそうで、食べる人のことを考えて体に優しいお菓子を作っているそうです。

2 店頭委託販売

カフェといろいろびよりhttps://bunjihappy.com/archives/7969でシフォンケーキなど焼き菓子の委託販売をしています(夏季を除く)。

3 イベント参加

マルシェに出品した焼き菓子
抹茶やココアを使った二色のシフォンケーキ

年に数回イベントに出店(びより市、まめカフェマルシェ、武蔵野BOOK+マルシェ等)

今年初めて参加した古本屋さんとのイベント武蔵野BOOK+マルシェでは、個性的な出展者が多くいろいろな人との会話を楽しめ、異業種とコラボしたイベントならではの面白さを感じられたとのことでした。

4、お菓子教室

不定期にお菓子教室を開催(@まめカフェ、カフェといろいろびより)。

過去に開催された教室の内容は、米粉のシフォンケーキ、ロールケーキ、ヘクセンハウス(お菓子の家)、チョコタルトなど。

教室開催は、HPやラインのタイムライン、Facebook、インスタグラムにて告知しています。

田中さんにとって仕事とは

「仕事はやりがい、ないとくたっとしてしまうし、生涯現役でやっていきたいと考えている。お菓子作りは好きな仕事なのでストレスにはならないし、作ることが大変と負担に感じてしまってはおいしいものができない」とさらりとおっしゃいました。一生涯できる仕事として、お菓子作りを選んだ田中さん。たくさん売ることが目標ではなく、長く続けるために自分のできる範囲で、無理せず美味しいお菓子を作っていきたいそうです。

田中さんのリラックスツール

「陶器、キッチン用品が大好きで、デパートに勤めていた時から色々集めています。スペース的に限度があるので、お菓子作り以外の食器類は増やしてないです。でもデパート、ギャラリー、その他のショップで陶器類、クリスタル類を見るのが大好きで、ワクワクして気分がアゲアゲになります。ほんと癒されます。」

これからの仕事

季節限定で地元産の栗を使用した渋皮煮タルトは人気商品

 

「これからというか夢なんだけれど・・いつか駅の近い場所を借りるか家を改装するかどちらかの方法で、カフェを運営してみたい」という田中さん。長く続けるために仕事は無理をしないのがモットー、お菓子はもちろん自分で焼いたものを提供するけれど、「お店自体は人に任せてかなあ」と楽しそうに話されていました。

 

田中さんのぶんハピごはん  国分寺歴 23年

田中裕子さん

新潟出身なので、美味しいお魚を食べるのが好き。お店に食べに行くのもいいですが、主人が釣りを趣味にしているので、鰹やシイラ等釣ってきた魚を家でさばいて食べるのは、新鮮でやっぱりおいしいですね。寒い時期に釣りに行かなくなったので、夏場限定。夏の冷凍庫は釣り用の氷でいっぱいなんですよ。

HP  https://slowloris0710.crayonsite.com

 

 

取材を終えて

実は田中さんとはご縁があって、何度かまめカフェで開催されたお菓子教室に参加させてもらったことがあります。お菓子を作るときに大変と思わないという田中さん。教えて下さっているときの動きに無駄がなく、簡単に作れそうに思えます。私が家で作ると手際が悪く上手くはいかないのですが、作る工程をみているので、田中さんに教わったレシピは何度も作るようになりました。
現在専業主婦で、これから何かやりたいけれど何がやれるだろうと思っていた私には、一生の仕事を選んでつきすすみ、自分の才能を信じられるものが見つかるかなあ、と思いながらお話を伺っていました。田中さんから「マイペースで無理なくできる仕事を自ら作っていく」という働き方のヒントをひとつもらった気がしました。

 

取材:ぶんハピリポーター