児童発達支援事業所『anto(あんと)』

子どもの「できる」を育て、その家族に寄り添う
ありがとうで溢れる場所

史跡武蔵国分寺跡から程近い一軒家、そこが※1児童発達支援事業所『anto(あんと)』です。壁に描かれた大きなキリンが目印です。『anto』は、0歳から未就学児を対象に1日10名の定員、集団で長時間療育を提供する事業所です。

今回は『anto』の児童発達支援管理責任者である相馬千鶴さんにお話を伺いました。

「『anto』では、楽しく遊んで育つということを基本にしています。療育と聞くと、毎日同じ訓練の繰り返しが当たり前と思われるかもしれません。『anto』では生活や遊びの中で“嬉しい”“楽しい””やってみたい”という子ども達の気持ちを育て、個々の子ども達の特性をしっかり見極め、その上で生活動作やコミュニケーションを覚えることを大切にし、その子に必要な支援を行っています。それに加え、国分寺の四季折々を感じられる武蔵国分寺公園やお鷹の道が近くにある環境は『anto』の魅力です」とのこと。「施設内だけではなく外に出て活動もしているので、近隣の人と挨拶を交わしたり、近くの農園で毎年みかん狩りをしたりと、子ども達が地域の一員として安心して暮らしていくために、人との繋がりも大切にしています」と相馬さん。

『anto』の1日は、はじまりの会→日中(小集団)活動→お弁当→個別プログラム→おやつ→おかえりの会という流れです。主な行事は、誕生会・七夕会・夕涼み会・お正月墨遊びなど多様です(令和4年度)。夏は、プール遊びを楽しみます。おやつや行事の際は、子ども達がクッキングをして食べることもあるそうです。皆で作って、食べたら美味しいでしょうね。実際に、クッキングを機に今まで食べられなかったものが、食べられるようになる子どももいるそうです。まずは、経験してみることの大切さを感じました。月に4回程、専門家による理学療法指導や作業療法指導も行われているそうです。

よく遊んでいる七重塔跡

『anto』の名前の由来は、幼児言葉で「ありがとう」のことを「あんと」と言うことから。「産まれてきてくれてありがとう」「産んでくれてありがとう」と『anto』には感謝の思いが込められています。そして「たくさんの“あんと”の声で溢れる場であり続けたい」という願いも込めているそうです。

『anto』は、社会福祉法人アンビーが運営しています。ここでは※2就労継続支援B型の就労支援施設として武蔵国分寺サブレや七重塔フィナンシェや焼きドーナツなどを作っています。どの焼き菓子も丁寧に作られ、美味しいと評判です。(焼き菓子は、アンビーの店舗の他に国分寺丸井にも出店。市内のカフェなどでも購入できます。)施設の運営を通して、アンビーは早期療育の必要性を感じ、何らかの障害があっても幼少期から一人の人間として尊重され、発達に応じて「できる」経験を増やして子どもたちの自信を育てる場所を作ろうと『anto』をスタートしたそうです。

相馬さんは、発達に凸凹があっても、『anto』の指導員たちが子ども達に愛情も持って接すると、例え言葉が出なくても、言葉がたどたどしくても、身振り手振りで指導員に笑顔で答えてくれたり、お友達同士で楽しくやりとりする様子を見ることができて嬉しいそうです。「指導員たちの愛情が伝わることで、『anto』が子どもたちにとって安心できる場所になっているのでしょう」という言葉が印象的でした。また、「一人ひとりの命を大切にし、社会の中で子どもだけでなくそのご家族や私たちも共に成長していきたい」とおっしゃっていました。

話を伺って、発達支援で子ども達が課題を達成し、社会で力を発揮したり、自分の得意や好きを見つけるためには、まずは無条件の愛(心の支援)が土台にあってこそだと感じました。子ども各々の最善の利益を考慮し、発達支援や環境整備に加え、安定した親子関係を築くためのお手伝いや、保育園や幼稚園などの子どもを取り巻く支援者との連携を行うなど、子どもたちの幸せのために日々奮闘されている『anto』の皆さん。その全ての活動を、国分寺の自然がまぁるく包んでくれているような…お話しを伺って温かい気持ちになり、子ども達の未来に希望が持てました。

※1児童発達支援事業所とは
0歳〜小学校入学前までの未就学児が、自分の慣れ親しんだ地域で発達支援(療育)を受けることが出来る施設です。発達に不安のある子どもたちのケアを行い、課題を解決する手伝いをしたり、その家族への支援をして負担を軽減したり、地域の幼稚園・保育所と連携を取りつつ多様なサービスを行っています。児童発達支援事業所は、集団(5~10人程)と個別(1対1)、療育時間も1時間以内というところもありますが、『anto』のように9:30~15:30でお弁当持参、送迎付というところもあります。その他、事業所が持つ理念や目指す支援などにより、提供するプログラムは様々です。

※2就労継続支援B型とは
障がいのある方が、一般企業に就職することに対して不安や困難がある場合などに、生産活動などの就労訓練を行うことができる事業所及びサービスです。「就労の機会の提供」や「就労に必要な能力を育む」ことを目的としています。

 

相馬千鶴さんのぶんハピ 国分寺歴6年

史跡公園とこくベジ

『anto』の近くにあり、四季折々の景色が楽しめて、子ども達も良く遊んでおり、お世話になっている公園です。
施設の回りには、畑も多く、季節によって色々な野菜の成長をみることが出来ます。子ども達とお散歩中に農作業している方々との挨拶や交流も楽しいです。

 

基本情報

anto(児童発達支援事業)

住所:国分寺市西元町 3-11-17

TEL:042-401-0176

開場日時:月曜〜金曜  9:30〜15:30

●チェックポイント

駐車場無し(近隣にぶんバス停留所やコインパーキング有)

取材:ぶんハピリポーター