防災シリーズ、続く第二回は電気です。
エアコンや携帯電話の普及、便座にも電気が通っていないとびっくりするようになっている昨今、スイッチをおせば(最近では声をかけるだけでも)常にお湯でも音楽でも温風でもなんでも出るのが当たり前です。私が子どものころに比べ電力の供給も安定し、実際、停電の回数が減り、復旧も早くなっているようです。
しかし最近、広い範囲にわたって、長期に及ぶ停電の被害のニュースを聞くことが多くなっているように感じます。
2018年の北海道胆振東部大地震発生後のブラックアウトと呼ばれる全域停電、関東でも2019年台風15号上陸に伴う千葉県を中心とした17万戸以上の大規模停電、2021年7月の落雷が原因とみられる埼玉県西部の広範囲で起きた停電など記憶に新しいのではないでしょうか。
私自身、そうした大規模な停電というのは経験がありませんが、被害のただ中にいて、その状態が長引いて不安な時、まず必要なのはつながりと情報だと思います。
手放せないその手の中の情報ツール携帯電話、充電されたモバイルバッテリーをいつもカバンの中に用意している方も多いかもしれません。携帯に必要なのはほんの少しの電気です。しかし、そのほんの少しの電気が、無いとなったら本当に困ります。
国分寺市の公民館など市内5か所に、スマートフォンが充電できるソーラースタンドが設置されているのをご存知でしょうか。
国分寺市 くらしの情報「自立型ソーラースタンドを設置しました」
設置されている施設が開館されている時間は、誰でもいつでも利用できます。
試しに使ってみました。
場所は光公民館。日差しの強い6月のお昼過ぎ。
充電している間は側を離れることができないため、大変日当たりの良いその場所で(ソーラー充電ですから)充電されるのを待つわけです。
暑さ対策や日焼け対策をして、暇をつぶせる何かを用意して(携帯を見ながらというわけにはいきません)できれば誰かと交代するなど工夫が必要です。
30分ほどのチャージで10パーセント充電できました(機種によって違いがあるかと思います)。10パーセントあると、誰かに連絡を取る、伝言を残すなど、大事に使えばいろいろ助かる事がありそうです。
ソーラー充電スタンドとは別に、市内以下の3か所にソーラー式外灯が設置されています。
国分寺駅北口駅前広場のバス入口、日吉町ポプラ公園、内藤さつき公園です。
国分寺駅北口駅前広場には風力・太陽光発電機も設置(普段は植栽の照明などに利用)マンホールトイレもあり、駅が帰宅困難者の一時避難所となることを想定して整備されていることがうかがえます。駅に一番近いエリアが普段はイベントスペースに使われており、そのスペースを囲むように四隅にソーラー式外灯が設置されています。
北口駅前広場 |
日吉町ポプラ公園と、内藤さつき公園には井戸があります。
井戸の近くにソーラー式外灯が設置されていて停電時に灯りが灯るのは、周辺に住む人にとって、大変便利で心強いのではと思いました。
公園のソーラー式外灯には、非常用に使用できるコンセントもついています。
内藤さつき公園 |
ソーラー式外灯に関しては、今後、設置個所が増える予定はないとのことでしたが、先日の防災シリーズ第一回で紹介された「むかしの井戸」のそばに、少しずつでも増えていくと良いのではないかと感じました。
国分寺市の避難所などにある防災備蓄倉庫には発電機の用意があり、避難所生活に必要な電力を供給するために使用されます。投光器による照明の確保が主な目的だそうです。
また、市役所、市民スポーツセンター、ひかりプラザ、清掃センター、いずみプラザは自家発電を有しているとのこと。灯りのともるところが、地域のサポートの拠点になりそうです。
大きな地震や大規模な停電の際に、避難所などにスマートフォンの充電ステーションが設置されているのをニュースで見たことがありました。自治体が主導しての設置なのか、それとも電力会社が?と疑問に思い、問い合わせました。
ドラマなどで見たことのある電源車が駆けつけることを想像していましたが、そういう大きな電気を供給できる車体は、一度に大きな電気が必要な大規模な施設の応援に使われ、きめ細やかなサポートには電気自動車を非常用電源として利用するようになっているということです。一部の自治体では、平時から使用している公用車の一部を電気自動車にして、いざという時に対応できるようにしていこうという動きもあります。
現在、国分寺市では、市の所有となっている公用車がおおよそ10台あり、そのうち2台が電気自動車です。それでは足りないのでは?と思いましたが、自治体が非常時に合わせて、常に必要十分なだけの電気自動車を所有するというのは現実的ではありません。
先の、千葉の広範囲に及ぶ停電の時には、自治体と電力会社が連携して日産自動車に協力を仰ぎ、3桁にのぼる台数の電気自動車を用意できたという心強い話を聞くことができました。
災害時、電力会社がまず自治体と連携をとって行うのは、おおもとの復旧や、生命維持のための施設の復旧です。どこに被害があり、どういう作業やサポートが必要か、自治体が地域から直接連絡を受け、それを電力会社に要請します。
電力会社は、復旧作業はもとより、作業に必要な道路の障害物の除去作業、そして病院や水道施設(電気がなければポンプも動かなくなります)、携帯電話の基地局などが自家発電でまかなえない時には、電源車の派遣の実施なども行います。
「送電が停止することで、あらゆるライフラインが影響を受ける」という事に、普段はなかなか思い至りませんでした。「おおもとの復旧を急ぐことが、電気を使う一人一人のお客様のサポートにつながる」という東京電力パワーグリッド株式会社の方の言葉が印象的でした。
行政や、各企業(ライフライン、流通、小売店、携帯電話会社など)のサポートが、ひとりひとりのもとに届くまで、それぞれが工夫をして備える事の必要性を改めて感じました。
最後に、今回記事を書くにあたって、携帯電話やパソコンの検索機能の便利さをあらためてありがたく感じました。
しかしまた、重要な情報は紙に出すなどして、手に取りやすいところに保管しておいた方が良いなとも思いました。
電気が無ければ、または故障していたら、黒い画面は何も教えてくれません。
一通りの防災関連の事が書かれた本と、避難場所や通勤ルート、住んでいる場所の周辺の地図、そして家族の写真を手元に用意しておくと良いと思います。
以下、防災時参考にできる情報をご紹介します。
平時にも一度読んでおくと頭のどこかに残って、情報にたどり着きやすいと思います。
◆停電した時の注意をわかりやすくまとめたサイトがこちら
◆国分寺市の公式サイトに防災を学ぶためのすごろくが掲載されていました。
少し大きなお子さんとご一緒に
知りたいことを拾い読みにする索引としても使えます
◆発生した停電の現在の状況がわかるサイト
取材:CHEERS
施設情報【ソーラースタンド設置個所】 市民スポーツセンター 小平市上水本町6-22-1 本多公民館 国分寺市本多1-7-1 光公民館 国分寺市光町3-13-19 もとまち公民館 国分寺市東元町2-3-13 並木公民館 国分寺市並木町2-12-3 各施設入口付近
【ソーラー式外灯設置個所】 国分寺駅北口駅前広場 国分寺市本町3丁目2−17 内藤さつき公園 国分寺市内藤1丁目 日吉町ポプラ公園 国分寺市日吉町4丁目2
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参考資料 国分寺市公式サイト (株)東京電力ホールディングス (株)東京電力パワーグリッド 電気事業連合会 (株)NISSAN自動車(EV)総合情報サイト