光図書館

児童館と学童保育所が併設、
子どもたちが気軽に立ち寄れる図書館

同じ建物内に図書館(左奥)、児童館、公民館(右手前)が入っています

光図書館は、市内で3番目に建てられた図書館です。1995年に改築した際、児童館、学童保育所が併設されました。

改装後は、児童の利用が増え、子どもたちにとって利用しやすい図書館になっています。

2011年からは、水曜日の開館時間が20時まで延長になり、 部活帰りの中高生や仕事帰りの方の利用も増えているようです。

 

児童コーナーの棚は、子どもたちが本を手にとりやすい高さに揃っています

市内の全図書館の勤務経験がある館長の菊池久美子さんに光図書館の特徴をうかがうと、「住宅に囲まれた場所にあるので古くから住んでいる地元の方と図書館のつながりが強く、異動で新しい職員が来ても地域の方とのコミュニケーションがとりやすい」とのこと。

そして、視覚障がいのある方へのサービスがあるのも特徴で、本を朗読したCDやテープの貸出を行っています。対面朗読室もあり、予約をすれば一人、1回2時間で視覚障がいの方が読みたい本を専門の朗読スタッフ(無料)に読んでもらう事が出来ます。

また近隣の小・中学校や、国分寺高校と連携をとって、図書館を有効活用してもらえるように取り組んでいるそうです。

おはなし会が開かれる絵本コーナー

入り口のすぐ右側に独立した絵本コーナーがあります。ここでは、月に一回、職員によるおはなし会が開かれています。午前の小さいお子さん向けのおはなし会には、近くに子ども家庭支援センターがあるので親子連れの方が多く参加し、午後の幼児から小学生向けのおはなし会には、隣が児童館と学童保育所ということもあり、職員の方の声がけで、子ども達がたくさん参加するそうです。

最後に本の取り扱いで気をつけてほしいことを伺うと、最近、返却された本が、濡れた状態で戻ってくる回数が増えているとのことでした。もしかすると鞄の中で、ペットボトルと一緒に入れて、水滴などで本の一部が濡れてしまうのかもしれません。一度濡れてしまうと、本の傷みが早くなってしまうそうです。私も本を持ち歩く時は、気をつけたいと思いました。

 

菊池 さんのぶんハピ 国分寺歴28年

レトロな雰囲気のお店がある

国分寺南口駅前に昔からあるお店があり、そのレトロな雰囲気がすきです。

左から薄田文子さん、菊池久美子さん

薄田(すすきだ)さんのぶんハピ 国分寺歴3年

近所にあるバラ専門店&窪東公園 

ご近所のお店や庭などにバラがたくさんあるので、バラの季節には、図書館周辺がバラのいい香りでいっぱいになります。また、子どもと一緒に窪東公園へも遊びに行きます。公園内に小川が流れていて、気持ちのいい公園ですね。

 

子連れのぶんハピポイント

平成7年に改築され、きれいで使いやすい図書館です。図書館内にあるトイレには、一般のトイレとは別にオムツ交換台があり、ベビーカーのまま入ることができます。

独立した絵本コーナーでは、絨毯引きの床に座ったり、中央にあるマットレスのようなソファに座ってゆっくり本が選べます。

同じ建物内に児童館と公民館があり、子ども家庭支援センターも隣接しているので、子どもと一緒に遊んだ後に、図書館によって本を借りて帰るのもおすすめです。

 

☆おはなし会☆

「小さい子のためのおはなし会」(0~歳向け) 毎月第3木曜  11:00〜11:30

「おはなしの広場」(幼児、小学校低学年向け) 毎月第3金曜  15:30〜16:00

 

取材:ぶんハピリポーター

 

 

施設情報

光図書館

TEL:042-576-5907

(*042-3○○地域から光図書館へおかけのときは042をお忘れなく)

住所:光町3-13-19

開館時間:9:30~17:00(水曜日のみ20:00まで開館)

休館:月曜・年末年始・特別整理日

アクセス:JR国立駅北口から徒歩15分
けやき台団地行きバス、弁天通り折り返し場行きバス「稲荷神社」下車 徒歩3分
北町公園行きバス、戸倉循環(稲荷神社経由)「国分寺第二小学校」下車 徒歩2分


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●チェックポイント
おむつがえ 駐車場有

 

 


恋ケ窪図書館

地域資料が揃う市内で一番古い図書館

季節にあった絵本の紹介コーナー

昭和48年(1973年)に本多図書館と恋ヶ窪図書館が開館しました。その後、本多図書館は建て替えをしたので、恋ヶ窪図書館は、建物としては、市内で一番古い図書館になります。

西武国分寺線の恋ヶ窪駅が近いのと国分寺市の中心にあり、市役所や郵便局にも近く、用事のついでに立ち寄りやすい図書館です。実際に、外出のついでに寄っていく方が多いそうです。

大人も国分寺について学びたくなります

恋ヶ窪図書館の特色は、国分寺市の歴史に関する地域資料などが、市内で一番充実していること。

「『国分寺市を知るための子どもの本』※に載っている資料は、全館に揃えられていますが、もっと詳しく調べたいときは、是非、恋ヶ窪図書館を利用して下さい。」と,地域資料担当の大木さん。 地域資料コーナー には、市内の小・中学校で使われる教科書が揃えられていて、誰でも自由に閲覧できます。利用カードがあれば貸出も可能だそうです。

※市内の歴史などを知るための本のリスト。全図書館に置いてあり、希望者に配布しています。

2階にある「おはなしのへや」

子ども向けには毎月、小さいお子さん(0~3 才)向けのおはなし会と幼児・小学校低学年向けのおはなし会 「おはなしの森」 を開催しています。年2回、いつものおはなし会のスペシャル版「スペシャルおはなし会」も行っています。「おはなし室」へは図書館の奥にあるふだんは使わない階段を上って入るので、「ひみつの部屋」に行くような感じが体験出来ます。図書館の建物自体は古いのですが、おはなし室は、きれいに改装されていて、見晴らしがよくとても気持ちのいいスペースでした。おはなし室は、公民館の保育室としても使われているそうです。

「小さい子のためのおはなし会」は親子の参加が多いですが、「おはなしの森」では参加する子どもたちが少ない様なので是非、親子で参加してみてください。

おはなし会では、部屋に手作りの切り絵をはって、楽しい雰囲気を出しています

 

大木さんのぶんハピ  国分寺歴26年

たくさんの緑

市内に、畑や公園がたくさんあり、緑豊かでのんびりしているところは国分寺のいいところですね。

濱田さんのぶんハピ  国分寺歴15年

新鮮な野菜

畑がたくさんあって、新鮮で安い野菜が買えるところがいいです。

 

子連れのぶんハピポイント

ベンチや椅子があり、くつろげる公民館のテラス

建物は古いのですが、図書館内にあるトイレは改装されており、きれいで使いやすく、オムツ交換台もあります。

2階の公民館スペースには、中庭のようなテラスがあります。だれでも自由に利用出来るので、図書館で本を借りた後にお子さんとテラスで過ごすのもおすすめです。

☆おはなし会☆

「小さい子のためのおはなし会」 (0~3 才向け)  毎月第1水曜  11:00〜11:30

「おはなしの森」 (幼児・小学校低学年向け)  毎月第1水曜  15:30~16:00

 

 

取材:ぶんハピリポーター

 

 

施設情報

「恋ヶ窪図書館」

TEL:042-324-1927

住所:西恋ヶ窪4-12-8

休館:月曜・年末年始・特別整理日

アクセス:西武国分寺線恋ヶ窪駅から徒歩7分

  ぶんバス日吉町ルート「日吉町4丁目」下車徒歩3分

  JR国立駅北口から立川バス「戸倉循環(日吉町回り)」

  行き「恋ヶ窪駅」下車、徒歩6分

 「上水営業所(日吉町経由)」行き「恋ヶ窪駅」下車、

  徒歩6分

 


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●チェックポイント
おむつがえ
※図書館に駐車場はありませんが、市役所の駐車場を利用することができます。

市内の図書館紹介

国分寺市には、中央図書館がなく、5つの図書館が、それぞれ連携を取りながら運営されています。各館では定期的にお話会が開かれ、講演会や映画会なども開催しています。開催日程等の詳細はHP http://www2.city.kokubunji.tokyo.jp/で確認して下さい。

国分寺図書館が発行するオリジナルの本のリスト

「ひよこえほん」(赤ちゃん向け)、「おはなしのぼうけん」(幼児向け)、「おはなしたからばこ」(小学1・2年生向け、3・4年生向け、5・6年生向け)などそれぞれの対象に向けた国分寺市オリジナルの小冊子を発行し、本の紹介を行っています。
中高生に向けては、各課でヤングアダルト・コーナーを設置して本のリストを発行しています。
ぶんハピねっとでは子育て中の方向けに市内の5つの図書館の児童書、絵本コーナーを中心に紹介します。

 

図書館の利用方法

国分寺市内にお住まいの方、または通勤・通学されている方、府中市・国立市にお住まいの方ならどなたでも借りられます。(年齢の制限はありません)

利用カードの作成:各館カウンターにてその日に発行。作成の際には、住所、氏名が確認出来るもの(免許証・保険証・学生証など)が必要です。
※ 小学生以下は、証明になるものは必要ありません。赤ちゃんや小さいお子さんも利用カードを作ることが出来ます。
貸出冊数:書籍、雑誌は、一人あたり12冊まで可能
※府中市民は,12冊まで,国立市民は,6冊まで借りられます
(ビックブックは2タイトルまで)、CDは2タイトル
貸出期間:2週間
貸出延長期間:返却日から最長2週間延長可。
(CD・ビックブックの延長は出来ません)
本の予約:各館のカウンターでパスワードを登録するとPCや携帯から予約が出来ます。

施設情報

 

本多図書館

TEL:042-324-2022
住所:国分寺市本多1-7-1
開館時間:火曜~金曜 9:30~20:00
土曜・日曜・祝日 9:30~17:00
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
*駐車場 25台(公民館と共通)
★小さい子のためのおはなし会(赤ちゃんから2~3歳)・・第2水曜日11:00~
★おはなしポケット・・第1・3水曜日(8月のみ第4)15:00~

 

恋ヶ窪図書館

TEL:042-324-1927
住所:国分寺市西恋ヶ窪4-12-8
開館時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
*駐車場 なし(市役所の駐車場を利用可)
★小さい子のためのおはなし会(赤ちゃんから2~3歳)・・第1水曜日11:00~
★おはなしの森(小学生向け)・・第1水曜日15:30~

 

もとまち図書館

TEL:042-325-4222
住所:国分寺市東元町2-3-13
開館時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
駐車場 5台(公民館と共通)
★小さい子のためのおはなし会(赤ちゃんから2~3歳)・・第3水曜日11:00~
★おはなしの部屋(小学生向け)・・毎週水曜日15:30~
東京学芸大学(第2週) 語りの市民グループ「でんでんだいこ」(第3週)

 

光図書館

TEL:042-576-5907
(042-3○○の地域から光図書館へかける時は市外局番をお忘れなく)
住所:光町3-13-19
開館時間:9:30~17:00/毎週水曜 9:30~20:00 (祝日と重なった場合は9:30~17:00)
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
駐車場 7台(公民館と共通)
★ 小さい子のためのおはなし会(赤ちゃんから2~3歳)・・第2木曜日11:00~
★ おはなしの広場・・第3金曜日 15:30〜

 

並木図書館

TEL:042-321-9972
住所:並木町2-12-3
開館時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
駐車場 16台(公民館と共通)
★小さい子のためのおはなし会(赤ちゃんから2~3歳)・・第4金曜日11:00~
★おはなしの木・・第3水曜 15:30~
★おはなしのくにピッピ・・第1・第3水曜 10:30~

 

本多図書館駅前分館

TEL:042-324-0505
住所:本町3-2-17(国分寺駅周辺整備課事務所1階)
開館時間:9:30~17:00
休館日:毎週月曜、年末年始、特別整理日、月曜と重なる祝日
駐車場 なし
★行政資料を中心に収集している図書館です。図書館のおすすめ本リストで紹介している絵本があります。


第2回 松田節子さん 主婦 

「ぶんハピねっと」が注目する、国分寺の「あの人」にインタビューします

「ひと」の第2回目は、市内で東元町文庫を仲間と運営している松田節子さん。「市民のための図書館づくりの会」(前代表)や「教育を考える会」を立ち上げ、その活動は30年以上、現在の国分寺市の教育を市民の立場で支えてきた松田さんにお話を伺いました。

松田節子さんのプロフィール

東京都中央区生まれ。都内で中学の英語教諭を5年勤めたのち退職。2人のお子さん、お孫さんがいる。1973年に家庭文庫を始め、現在も平安神社内の自治会公会堂で「東元町文庫」の運営に参加。語りの市民グループ「でんでんだいこ」のメンバーとして市内の小学校へ語りや読み聞かせの出前授業に参加。今回で5回目になる3人の語り手がお国言葉で語る「べっぴん三(さん)の会」※の企画、運営に関わる。

「教育を考える会」会員。「市民のための図書館づくりの会」前代表。

※「べっぴん三(さん)の会」語り手は赤羽目喜美子南部弁)、藤巻愛子甲州弁、宮川ひろ上州弁。国分寺在住の児童文学作家さんの3人。国分寺市民他13人のスタッフで運営している。

 

 

読書の楽しさを伝えるため家庭文庫を開く

―子どものころからよく本を読んでいらしたのですか?

 松田さん(以下、敬称略) 実は、私は子どものころ、それほど本を読んでいなかったんです。高校生時代もひたすら受験勉強をしていました。ただ、夫は私と違って受験勉強は全くしないで本ばっかり読んで育った人で。結婚してから、夫と私との教養のギャップに気づいて愕然としました。

 ―小さい頃から読書家というイメージですが意外ですね。

松田  よくそう言われます。(笑)夫を見ていて「子どもから学生時代に本を読む習慣をつけることが大切」と思ったんです。それと長女が生まれたときに『くろうまブランンキー』(伊東三郎/著、堀内誠一/イラスト、福音館書店)という絵本を元同僚から頂いて、その本にもすごく感動しました。ちょうど新しい子どもの本がどんどん出ている時期でとても魅力的でした。

 ―実際に文庫を始められたきっかけを教えていただけますか?

松田 今から40年くらい前ですが、国分寺第1小学校でPTAの先輩が学校の先生と一緒に月1回「読書会」を始めたんです。私もその活動に参加していました。この頃「日本親子読書センター」※の集会を知って友人6、7人で参加しました。集会参加後、いろいろと刺激を受けて「私たちも文庫を開きたいね」となって、1973年のクリスマスに自宅で文庫活動を始めました。

※「日本親子読書センター」…元小学校教諭、故斉藤尚吾氏他が1970年代に設立。毎夏全国集会を開催、日本中に文庫活動を広める。現在代表は関谷康子さん。夏休みに1泊2日で親子がそれぞれ読書に楽しむプログラム「夏のつどい」などを企画、運営している。

 ―自宅の家庭文庫から現在の場所に移られたんですか?

松田 そうなんです。文庫を始めたら家のダイニングに子どもがぎっしり入ってきて、もうすごい状態だったんですよ。夏は暑くて大変でした。それで、読書会を一緒にやっていた友人のお父さまが自治会長さんだったので、公会堂の一部屋に文庫の本をおかせてもらえることになって、現在の場所で「東元町文庫」を始めました。今でも、自治会の援助を受けています。

東元町文庫がある平安神社

―文庫の本はどのように集められたんですか?

松田 自宅で文庫を始めた時に図書館から100冊まで団体貸出しで借りられるサービスがあり、当時は唯一の恋ケ窪図書館間から届けてもらっていました。現在は、ほとんどが助成金を頂いて購入した本です。

―何名で運営されているのですか?

松田 現在のスタッフは10名です(数十年前は30名の時も)。スタッフは、みんなお子さんが文庫育ちの人が多いです。お子さんが赤ちゃんのときから文庫に通っていたスタッフもいます。私より若いスタッフの活躍に目を見張ります。

―文庫に来る子どもたちは小学生が多いですか?

東元町文庫で熱心にお話を聞く子どもたち

松田 かつては小学生が多かったのですが、最近はお母さんと一緒に来る幼稚園児など小さいお子さんが多いですね。文庫が始まる前は凄く賑やかなんですが、本読みが始まるとみんなしっかり聞いて感動する時があります。文庫で工作をするんですが、小学生はどんどん自分でやれますが、小さいお子さんが出来ないところはお母さんが一生懸命作っていたりして、若いお母さんたちがすごく熱心で、お母さん同士のいい交流の場みたいです。

文庫活動から地域活動へ

文庫活動を始められた当初、恋ケ窪図書館以外に図書館はあったんですか?

松田 本多公民館に図書室がありましたけど、いわゆる図書館は恋ケ窪図書館だけでしたね。図書館は恋ヶ窪、光、もとまちの順で出来ました。それから本多公民館が改築されて、現在のように図書館と公民館が立派になりました。そして最後が並木です。並木が出来るまでは大変でした。公民館は、目的のある人が行くでしょ。図書館はふらっと行けるところ。その時の図書館界のキャッチフレーズが「買い物かごを下げて図書館へ」だったんですよ。で、本当は図書館を1階に作りたかったんです。

―そういえば、市内の図書館で2階にあるのは並木だけですね。

松田 結局図書館が2階になってしまいましたが、あそこになるまでには、すごい熱気ある集会を開いたりね。その当時は、我が家で「どういう風にしよう」と集まって相談したり、集会には市内の公民館関係者のほとんどの人が参加していましたね。

―国分寺の図書館のほとんどすべてに関わっていらっしゃったんですね?

 松田 そうですね。「図書館づくりの会」を作ったのは、もとまち図書館をつくるもっと前。恋ヶ窪図書館をつくるときから図書館職員と連携をしながら色々と話し合ったりしていました。本多公民館で地方自治講座と言うのがあって、この講座では「自分たちの手で何かアクションをしなければ何も起きない」という事を学びました。もとまち地区に図書館と公民館がないので、文庫を始めて数年経って、「やっぱり家の近くに図書館・公民館がほしい」と、本多公民館に出張講座を自治会の公会堂で開いてもらって、「南部地区図書館・公民館作りの会」を作りました。『公民館を作ろう』という会を作って、図書館と公民館を建てる時に設計段階から、「市民も参加できる建設検討委員会を作ってほしい」という陳情書を市に出しました。これは、東村山市をお手本にしました。東村山は図書館を作るときに市民もすごく勉強して建設に際して市民の意見を入れてもらい、館長も日野の図書館長を市民が引っ張ってきたんですよ。

30年間発行している「みに・ひろば」

―自分の地域を豊かにするのは自ら動かなくてはいけない」ということですね。松田さんは「図書館づくりの会」のほかに「教育を考える会」や「教育フォーラム」など市民として教育に関する活動にも参加されていますね。

 松田 もう亡くなられたんですが、東京大学の教授で国分寺7小のPTAやP連の会長をやっていらした持田栄一先生の教育講座が本多公民館であり、私は講座修了後にできた自主グループに参加していました。持田先生からは、ドイツの教育システムなど教育の大事なところを学びました。教育委員会が悪いって文句だけ言ってたって良くならないでしょ。それで、「教育を考える会」をつくって、教育委員会の傍聴を始めたんです。「みに・ひろば」という傍聴記録を仲間と30年間続けて出しています。

―その活動が「教育フォーラム」につながるんですね?

 松田 教育委員会を傍聴していて「教育に市民の意見を反映させたい」、「教育を市民の手に取り戻したい」と思ったんです。それで20年くらい前にP連(PTA連合会)を通じて市に「教育市民会議の開催」の陳情を出し、市議会で全員一致で議決されました。最初は行政が主導だったんですが、その時の指導室長に「私たちが関われるような教育市民会議をやってほしい」とお願いして、今のように分科会を作って集会を開く「教育フォーラム」が出来たんですよ。

―「教育フォーラム」での成果として何か具体的にありますか?

 松田 始めは「読書をひろめる」でしたが、数年前に「学校図書館の整備が大事だ」と取り組み、三鷹市・狛江市の司書教諭と司書さんや、学校図書館で有名な山形・鶴岡市の朝陽第一小学校の司書、五十嵐絹子さんを教育フォーラムにお呼びしたことがきっかけになり、それまで小学校では週3日、中学校では週1日しか司書が勤務していなかったのが、5年前から市内の全小学校に、3年前から全中学校に図書館司書を常駐させるということにつながりました。

地域のおはなしおばさんでいたい

―「実にいろいろな活動をされていますが、やはり松田さんの活動のベースになっているのは「本」や「お話」ですよね。

文庫での松田さん

 松田 そうですね。文庫の活動以外には、語りの市民グループ「でんでんだいこ」※に参加しています。2010年は小学校でお話の出前授業を100時間以上行いました。学校の授業だから20~30人の前で語れるでしょ。市の図書館の協力もあり、学校図書館でも読んだ本を並べてくれて、学校の司書さんとも相談しながら活動しています。
※「でんでんだいこ」は須藤 初枝さんが中心となる語りのグループ。現在、20人近くのメンバーで活動している。
―授業として子どもたちにお話を届けるというのは素敵ですね。

 松田 私は、語りや読み聞かせをするのは、耳を育てること、人と人とのコミュニケーションだと思うんです。これは、人間関係をつくっていく上ですごく大事なことだと思います。

―ところで、松田さんが今、一番関心のある事はなんですか?

 松田 今は、市の財政事情により図書館業務が民間委託になるかもしれないという問題ですね。なんとかこれを阻止したいと思っています。カウンター業務は、本を渡す仕事だから誰がやってもいいと思っている人が多いんです。でもカウンターの仕事は、本を渡しながら市民の利用状況や希望をキャッチする大事なところなのね。利用者が文句を言うのもカウンターでしょ。委託になると市民の要望をカウンターですぐ対応するという事が(契約上)難しくなるんです。だから直営がすごく大事なの。それと図書館は蔵書管理を長期的な視点で考えないといけないのね。それには職員が10年、20年、30年培ってきたことが大事なんですよ。

―委託契約だと3年や5年ですよね。

松田 そうなんです。10年以上はないんですね。だからこの問題にはもっとみなさんに関心を持ってもらえたらなと思っています。それともうひとつは、「語り」のこと。私は、市内に昔話を語れる人が10人なのか50人なのか100人いるのかで地域の文化度が違うと思うのね。今後、若いお母さんたちの語り手が増えて地域の文化度が上がっていって、子どもたちが「お袋の味みたいに昔話を聞いて育った」って言うようになるといいなって思います。それには語る人も、いい語りを聞かないと勉強にならない。それで市内在住の児童文学作家の宮川ひろさんにお願いして他の2名の語り手(都内在住)をお呼びしてお国言葉で語っていただく、「べっぴん三(さん)の会」を年に1回、開催しています。2011年で5回目、語り手と聞き手が一体となって毎回とってもいい雰囲気の語りの場になります。

―最後に松田さんの夢を教えていただけますか?

松田 私は、自分の足腰が動かなくなったら、家で“おはなしおばさん”をやれたらな〜って。それとお話を語れる人が、いっぱい増えるといいわね。お話を通して地域の人と親しい関係を多く築いて何かあった時に助け合えるそんな街にしたいって思います。

 

松田さんのぶんハピ 国分寺歴 45年

空に広がる夕焼け雲と市内の図書館

自宅から武蔵国分寺跡(西のほう)に向かってか、近くの植木畑の道で夕焼けが見える場所です。空が広がって見える場所に来ると雲の様子に見とれます。図書館はいつももっとゆっくり来たいなと思いながらあわただしく帰ります。図書館は一番ゆっくりしたい場所です。

インタビューを終えて

今回のインタビューで一番印象に残ったのは「地域をよくするには地域に住んでいる人、自らが動かなくてはいけない」ということ。読書の楽しさを子どもに伝えるために始めた松田さんの文庫活動が地域活動、教育フォーラムへと広がり、その成果を残している事はすばらしいです。行政だけにまかせるのではく、自分で必要だと思ったことは自ら動いて実現させてきた松田さんのパワーに脱帽。そして今、それを当たり前の事として享受していることに感謝です。あと数年で80歳を迎えられるとは思えない若々しさと、しゃきっとした江戸っ子の話しっぷりに力を頂きました。継続していくことの大切さも再確認。私たちも「国分寺に住む誰もがHAPPYに」を目標に活動を続けていきたいと思います!松田さん、インタビューにご協力いただきありがとうございました。

撮影協力:東元町文庫
開催日時 毎週水曜 14:30~16:00
場所  東元町一丁目自治会公会堂(平安神社内)

 取材:CHEERS